既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第5章 その他の家畜家禽

第1節 馬

5 馬の取引き

(1) 藩政時代

 藩政時代の馬は,運輸および軍事上重要であったので,各藩とも馬の生産増強と資源の国外流出を制限することにより,馬の確保に努めていた。
 岡山藩においても例外ではなく,備前一宮牛馬市(元禄2年(1689)開市)は,藩中の乗馬を交換する目的で創設され,1700年代には繁栄をきわめていた。津山藩は,作州一宮牛馬市において藩公ならびに藩士入用の馬の取引きを行なった。
 価格については,安永5年(1776)に,備中花木村(現高梁市)庄屋熊吉が借金のかたに売り渡した駒1頭が90匁とある(斉藤英策(1965)『近世和牛経済史』)。当時京都の平均米価は1石約70匁ということなので,白米1石3斗に相当したことになる。