既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第5章 その他の家畜家禽

第1節 馬

5 馬の取引き

(2) 明治年代以降

   1 牛馬等家畜市場税ほか

 明治元年(1868),牛馬の売買には,牛馬商として鑑札を受けなければならないと定められた。初め鑑札1枚につき冥加金(鑑札税金)年3分とし,翌年から1円に改められた。明治5年(1872)には,税金の取立て方法のほか無免許者の処罰や,違反を申告した者への奨励金のことなどについて牛馬売買渡世の者の免許鑑札の規則が出されている。明治11年(1878)太政官布告第4号をもって牛馬売買税金納期を半年ごととし,管轄庁に上納するよう定められた。
 明治12年(1879),初めて民選議員からなる岡山県議会において,地方税中営業税並雑税規則が公布されている。これによる諸市場上り高税のうち,関係の深いものは次のとおりであった。

     魚市場上り高  1,000分の5    月収とする
     牛馬市場 〃    100分の5    1日上り高50円を低限とする日税
     糶売市  〃   〃          〃  10円  〃
     臨時市  〃   〃          〃  〃   〃
     諸飲食店             年税
     鳥獣肉煮売り  2円 (鰻屋3円,そばうどん屋50銭,汁粉屋50銭など)

   2 家畜商および牛馬市場関係法規

 馬の公正取引き上画期的な法規として明治43年(1910)3月18日公布された家畜市場法(法律第1号)および同年12月1日農商務省令第2号による家畜商取締規則があげられる。これらの法規により,牛馬商の資質向上と家畜市場取引きの円滑公正が期待された。しかし,期待どおりすべてが是正されたわけではなかった。
 家畜商関係法規は,その後,昭和16年(1941)家畜商取締規則(農林省令第69号),昭和24年(1949)家畜商法(法律第208号)と改変され,一方,家畜市場法は,昭和31年(1956)家畜取引法(法律第123号)に移行して今日に至っている。
 岡山県においては,昭和4年(1929)5月27日,犢駒糶売規則(県令第50号)を制定し,7月1日から実施している。戦後,昭和23年(1948)9月1日,子牛子馬公正取引条例(県条例第69号)を制定,一貫して畜産専門団体により子馬市場の開設運営による公正取引きを促している。

   3 家畜市場取引きの推移

 明治年代以降の家畜市場における取引きの推移について述べよう。
 岡山県の牛馬取引きと深い関係にあった伯耆大山市について,明治前中期における馬の売買価格は表5−1−29のとおりであった。

 明治16年(1883)における馬市場と取引実績は,表5−1−30のとおりである。これによれば,南北条郡東一宮村(現津山市)の馬市の規模が甚しく大きかったことが分かる。また,1頭当たり平均価格は7円96銭であって,同年岡山県における米価は,1石当たり6円09銭であったから,米1石3斗に相当したわけである。

 明治21年(1988)下期における家畜市場別取引状況は,表5−1−31のとおりであった。

 明治35年(1902)における県内馬市場開設状況は,表5−1−32のとおりであった。この年代になると,高梁牛馬市を主とする上房郡の取引きが最も大きくなっている。

 つぎに,明治40年(1907)以降の馬市場取引成績を一括表示すれば,表5−1−33のとおりであった。また,家畜市場別または郡市別の馬市場取引成績を,年代順に表5−1−34から,5−1−36までに示した。

   4 馬の県外移出入

 大正末期から昭和初年にかけての馬の県外移出入を見れば,表5−1−37のとおりであって,大体において移出の方がやや多い状態で推移している。