既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第5章 その他の家畜家禽

第3節 山羊

2 岡山県における山羊飼養

(6) 山羊と生活改善

 山羊は食糧自給的な性格をもち,食生活の改善にふさわしいものであって,新鮮で濃厚(注 山羊乳の脂肪率は普通3.0−4.5%)な山羊乳は食生活の質の改善向上に役立ち,しかも安価に生産されるところに魅力があった。昭和初期の農業恐慌に際会して,窮乏した農家の食生活において蛋白質,ビタミン,カルシウムなどの欠乏により農民の間に多発していた過労,脚気,胃腸病,血管病,虚弱児などに対して,山羊乳は格好の生活改善をもたらした。戦後,進駐軍により小規模農業と山羊飼育の合理性が力説され,「ララ物質」として米国から山羊の導入がなされたこともあって,農家において山羊飼育による栄養改善については,年々関心が高くなった。昭和26年(1951)ころから生活改善事業により山羊乳を利用した料理や山羊肉の加工利用についての講習会が開催され,好評を博した。しかし,昭和40年(1965)以後になると乳牛などの増加により,乳肉ともに流通量が多くなり,自給山羊乳肉の必要性が低下した。