既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第7章 家畜衛生

第2節 獣医師制度とその変遷

2 獣医学教育の変遷

(3)獣医学教育年限の延長

 長年の念願であった獣医学教育年限延長について,獣医師法の一部改正が,昭和52年(1977)5月27日公布され,翌年4月1日から施行された。改正された法律の趣旨および要点は次のとおりである。
 畜産の振興をはかり,公衆衛生の向上に資するため,獣医師の果たすべき役割が増大した,とくに最近の獣医師を取りまく情勢は,畜産の進展,食生活における畜産食品の需要増加,また,飼養形態の大型化に即応した家畜の衛生的損耗の防止,動物用医薬品および飼料添加物の畜産食品への移行ないし残留に伴う人体に対する安全性の確保等,家畜衛生上の諸問題がとくに重要視され,これらに対応するため獣医師の知識および技能の水準を高め,またこれを多様化することが重要となった。このような情勢にかんがみ,獣医師法の一部を改正し,獣医師国家試験の受験資格を引き上げることとしたもので,獣医師法第12条第1号に規定する,国家試験の受験資格について「大学における獣医学の4年以上にわたる課程を修めて,これを卒業した者」とされていたものを「大学の獣医課程を修めて卒業し,かつ大学院の獣医学の修士の課程を終了した者」に改めることにより,大学の学部および,大学院の修士課程を通じて6年間の獣医学教育を受けることを受験資格とした。
 これは,獣医師法の一部改正だけにより,修士課程積上げ方式によるものであるが,将来は学校教育法の改正による学部6年制の実現が望まれている。