既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第7章 家畜衛生

第4節 家畜診療と共済制度

1.家畜診療の変遷

(2)明治大正年代の家畜診療
 現代獣医学の基礎が導入されたのは,主として明治時代になってからである。西洋文明の伝来とともに,逐次体系化され,かつ,整備された診療技術は,飛躍的に発達したのである。
 明治になって「獣医免許規則」の施行のとき,以前からの馬医は引続き治療することが認められ,仮免許が与えられた。泰西獣医学による獣医師の養成は,明治6(1873)陸軍省兵学寮馬匹学舎にはじまっている。
 明治9年(1876)政府は農業教育の手はじめとして,勧業寮内藤新宿試験場内に獣医科を設けた。これが後の駒場農学校で,同12年(1880)第1回卒業生16名を出した。これらにより西洋獣医学が広められ,近代科学をとり入れた獣医師養成時代となったのである。また,陸軍獣医部においても軍陣獣医学の発達により,診療技術は著しい発展を遂げた。とくに明治27年(1894)の日清戦争,37年(1904)の日露戦争の両戦役において,陸軍の軍陣獣医学は飛躍的な進歩をとげた。
 このころから従来からの馬医は漸次姿を消し,診療は専ら新しい獣医学教育によって資格を得た獣医師によって行われるようになったが,まだこの時代にも鍼術,漢法医療による診療も併用されていた。
 大正年代に入ると,畜産団体が獣医師を雇い入れ,これにより畜産振興が計られるようになった。また,一部には開業獣医師も現われ,それらによって,新技術による家畜の診療が開始されるようになった。


図7-4-5 診療器具