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肉用牛肥育経営診断のまとめ 平成9年

高度化促進事業で行った肉用牛肥育経営5事例の平成9年の集計結果です。

1.経営の概要

 家族労働力(2、200時間換算)は平均1.6人であった。
 肥育牛常時飼養頭数は平均78.7頭で、最大127.4頭、最小27.1頭となっており、飼養頭数は経営間で大きな差があった。
 肥育牛出荷頭数も最大81頭、最小15頭と経営間で差があり、平均では46.0頭であった。

2.生産技術

・去勢若齢肥育について

 5事例全てが去勢若齢肥育を行っており、そのうち3事例は去勢若齢肥育専門である。
 飼養開始時日齢は平均255.3日(8.4ヵ月)で、最大267日(8.8ヵ月)、最小251日(8.3ヵ月)となっており、経営間の差が小さかったが、飼養終了時日齢は、平均848.4日(27.9ヵ月)で、最大940日(30.9ヵ月)、最小789日(26.0ヵ月)となっており、経営間の差が大きかった。よって、飼養日数では、平均593.1日(19.5ヵ月)で、最大673日(22.1ヵ月)、最小538日(17.7ヵ月)となっており、その差は135日(4.4ヵ月)であった。
 日増体重は平均0.695kgで、最大0.750kg、最小0.641kgとなっており、これも経営間の差が大きかった。
 出荷牛1頭あたりのもと牛価格は平均326,732円で、昨年度の平均300,690円を大きく上回っており、経営に大きく影響している。
 販売価格は平均716,763円で、最大742,985円、最小670,853円であった。昨年度はもと牛価格が低い場合は販売価格も低く、高い場合は販売価格も高い傾向にあったが、今年度はこの傾向が見られず、もと牛価格が最大で販売価格が最小という経営もあり、飼養終了時の日齢及び体重の差が大きく影響していると思われる。 ここで、(社)中央畜産会が集計を行った平成8年度の先進的畜産経営(肉用牛肥育、集計件数43件)の成績(以下、先進事例)と比較すると、販売価格が平均812,682円であり、10万円近い差が開いている。 先進事例ではもと牛価格が低い場合は販売価格も低く、高い場合は販売価格も高い傾向にあった。
 枝肉上物率(肉質等級4以上)は平均39.3%で、昨年度の37.1%をわずかに上回っているものの、全体的に上物率は低く、販売価格に大きく影響している。

・雌若齢肥育について

 5事例のうち2事例が雌若齢肥育を行っている。
 飼養日数は1事例(=@)が691日(22.7ヵ月)に対し、もう1事例(=A)は559日(18.4ヵ月)と大きな差があり、その差は132日(4.3ヵ月)であった。また、それぞれ自家経営の去勢若齢肥育と比較すると、@では飼養日数が19日(0.6ヵ月)長いのに対し、Aでは50日(1.6ヵ月)短いという対照的な結果であった。

 3.当期生産費用の内訳

 生産費用(平均)の中で全体に占める割合が最も大きいのは、もと畜費の50.1%で、以下購入飼料費の31.1%、労働費の10.3%の順となっており、この上位3項目で全体の91.5%を占めている。これは昨年度の91.0%をわずかに上回る結果となった。
 上位3項目それぞれについてみると、もと畜費は平均207,368円で、最大238,415円、最小165,332円となっており、最小になった原因は、飼養頭数に対して当期のもと牛導入頭数が少なかったためである。但し、もと牛導入は5事例すべて農協預託である。
 また、購入飼料費は平均128,842円で、最大172,245円、最小98,778円となっており、最大と最小の差が他項目に比較して最も大きかった。最大の経営では購入飼料費が極めて高く、経営を大きく圧迫している。
 また、労働費は平均42,574円で、最大71,734円、最小18,336円となっており、飼養頭数が少ないほど労働費が高い傾向にあった。昨年度の平均労働費57,004円と比較すると、省力化がなされている。
 当期生産費用の合計では、平均414,151円で、最大456,257円、最小372,247円となっており、最大となった主な原因は、もと畜費及び購入飼料費が他経営に比較して高く、最小では労働費が低かったためである。先進事例の平均当期生産費用の合計422,948円と比較すると、最大の経営を除き低コスト生産がなされていることになる。

4.損益計算書

 売上高は平均418,279円、売上原価は平均401,673円となっており、昨年度の平均と比較するとそれぞれ高くなっているが、売上高の方が差額が大きいため、売上総利益では昨年度の平均より19,751円高い結果となった。
 営業外費用は平均27,972円で、そのほとんどが支払利息である。

5.経営の収益性及び安全性

 労働力1人当り年間所得は平均-87千円で、最大9,408千円、最小-6,253千円となっており、肥育牛常時1頭当り年間所得では平均-6,611円で、最大103,387円、最小-68,380円であった。昨年度の平均と比較すると所得はともに高くなっているが、マイナス(−)ということは赤字経営を意味し、5事例のうち3事例がそれであり、厳しい結果は昨年と変わらない。所得向上の原因は出荷牛の販売価格の増加が大きいが、先進事例では、逆に出荷牛の販売価格が低下しているものの、それ以上に売上原価、とくにもと牛価格が減少したことで前年の所得を上回っている。
 肥育牛1頭当り資金借入額は平均431,492円で、肥育牛1頭当り償還負担額は平均93,175円となっており、肥育牛1頭当たりの負担はかなり大きいと言える。