既刊の紹介酪農経営診断のまとめ平成15年

酪農経営診断のまとめ 平成15年

経営環境

3.飼料価格

 飼料価格を変動させる主な要因は、@飼料生産国の作付け状況や気象状況、A輸入競合国の需給動向、B為替相場やCフレートなどである。輸入穀物を主原料とする配合飼料は当然これらの変動要因の影響を受けるが、価格安定制度があるため、激変緩和が図られている。しかし、乾草類を中心とする輸入粗飼料は変動要因の影響をまともに被ることになる。
 主な変動要因と、配合飼料価格及び輸入粗飼料価格の動向は以下のとおりである。

(1)為替相場の動向

為替相場(対米ドル)の推移は図4のとおりで、平成7年7月からそれまでの円高基調から一転して円安へと転換し、平成10年10月まで前年同月を上回る円安が継続した。しかし平成10年11月以降は円高傾向に再び転じ、平成11年12月には102円台まで上昇したが、日本国債の格下の影響を受け、平成12年2月以降、再び円安傾向となった。平成14年に入ると3月4月を境に、国内景気の下げ止まり感等から再び円高に転じたが、年平均では平成11年以降、最も円安で推移した。



注:東京銀行調べ

(2)穀物の需給動向

 配合飼料の主原料であるトウモロコシの価格動向(シカゴ相場 先物)は図5のとおりである。平成7年から8年夏にかけてアメリカの不作等のためシカゴ相場は高騰したが、その後アメリカの作付制限撤廃などで供給が増え、平成9年は大幅に値下がりし、平成10年以降は概ね200セント/ブッシェルの水準で推移している。平成12年は5月以降、アメリカの好天から一時下落したが、その後中西部の干ばつの影響で上昇した。平成13年は7月初旬に中国等への輸出成約やアメリカにおける受粉期の高温乾燥懸念から上昇したが、その後は作柄の回復により、一進一退を繰り返した。平成14年は7月にアメリカの主産地で干ばつ等による作柄の低下により価格が上昇したが、その後生産量が上方修正され、価格が下落している。
 一方輸入価格は、シカゴ相場を反映して8年10月をピークに低下し、また、10年後半には円高の影響でさらに値下がりし、それ以降、円高で推移したことやシカゴ相場が低水準で推移したことから、輸入価格も低水準で推移した。平成12年2月以降は為替相場の影響と上記のシカゴ相場の影響で、上昇に転じた。それ以降も為替相場とシカゴ相場の影響により、約3カ月のタイムラグで変動を繰り返している。


注:日本経済新聞資料 大蔵省「貿易統計」

(3)配合飼料価格の動向

 配合飼料価格は原料穀物であるトウモロコシの国際相場の上昇や為替相場の円安のため、平成10年半ばまで高値が続いたが、それ以降、トウモロコシの国際相場の下落や為替相場の円高により低下傾向にあった。しかし平成12年4月以降、シカゴ相場や為替レートの影響を受け、配合飼料価格も上昇し、3四半期で配合飼料価格安定制度による通常補てんが行われた。平成13年はさらに円安の影響から図6のとおりより一層の価格上昇から、年を通じて通常補てんが行われた。平成14年も上昇基調にあることから、年を通じて通常補填が行われた。



注:農林水産省「農村物価賃金統計」

(4)粗飼料価格の動向

 輸入粗飼料の価格は、為替相場の影響をダイレクトに受け、図7のとおり、為替相場の変動にシンクロナイズして変動している。


注:大蔵省「日本貿易月表」