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繋ぎ飼いとフリーストール（ルースバーン）の比較

　本県の酪農経営も経産牛１頭当たりの収益性の低下に伴い、飼養頭数規模を拡大して所得の低下を補う動きが多く見られる。しかし、飼養頭数規模を拡大するプロセスで、従来の飼養管理システム（ここでは繋ぎ飼いをいう）では、家族労働力をベースに考えた場合、労力的に多頭化の限界が生じる。その限界頭数は概ね経産牛頭数で70頭といわれている。これを超える規模拡大を図る場合は、飼養管理システムを変更することになる。本県でも徐々に増えつつある、放し飼い・群管理というシステム、すなわち、フリーストール（ルースバーン）・ミルキングパーラーシステムによる酪農経営がこれである。平成8年は診断対象に5事例のフリーストール（ルースバーン）・ミルキングパーラーシステムによる酪農経営が含まれていたので、ここで、従来の繋ぎ飼いシステムの経営と比較した。
　その結果は表２のとおりで、次のように整理できる。
　フリーストール（ルースバーン）・ミルキングパーラーシステムの経営は、経産牛１頭当たり産乳量や繁殖成績を見ても､技術レベルの高い農家が取り組んでいることが理解できる。しかし、飼養頭数規模別比較でみたとおり、システム導入に伴う多額の投資と多額の負債、労働力不足による後継牛の自家育成、自給飼料生産の外部化、外部雇用の導入などにより、繋ぎ飼いと比較して収益性が低下し、スケールメリットが生かせていないのが現状である。
　但し、いずれの経営も、システム導入後日が浅く、まだ、平常ベースの経営になっていない点は考慮する必要がある。

表２ 飼養方式別比較