既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第1章 酪農の発展

第2節 酪農奨励事業

3.躍進期を迎えた最近の酪農振興対策

(3)美作地域酪農振興計画の策定

 昭和28年(1953)9月22日,臨時県議会において「今後集約的に乳牛を導入するために大幅な国庫の助成が必要であり,このため酪農経済圏に指定をうけるため,津山市ほか美作5郡を高度集約酪農地区に指定されたい」旨の陳情書を可決し国に陳情した。県は独自の発案で美作地域振興計画を策定して国に提出し、集約酪農地域の指定を請願した。
 この計画書の骨子は次のとおりであった。

(1)美作地域をジャージー地区とホルスタイン地区の2つの集約酪農地帯に分ける。更に原料乳供給地帯と市乳用原料乳地帯に分ける。5カ年後に乳牛飼育頭数を1万2,080頭,産乳日量260石を生産し,北部酪農業協同組合の酪農工場を整備し生乳の処理にあてる。
(2)ホルスタイン種乳牛による集約酪農地帯は,現在及将来可能とみられる集乳路線を中心に乳牛密度を高めると共に,山林,耕地の経営が酪農によって発展が期待できる町村を選んだ。
(3)ジャージー種乳牛地帯は,津山市の北部,および蒜山地区とした。両地区はホルスタイン種は1頭も飼われておらず,畑地,放牧地,採草地に富み,ジャージー種飼養に好適の地である。
(4)蒜山地帯の開発については,岡山大学並びに県の調査の結果,酪農による農業開発が強く要請されており,大山出雲特定地域総合開発計画が承認決定され,今後本格的な開発が行われることとなった。
(5)指導の面においては,岡山県酪農試験場,中国酪農講習所,家畜保健衛生所,農業改良普及所の協力によることとし,各町村に酪農専任技術員を設置する。
(6)生乳については,先ず県内の消費を図るが,夏季は極力大阪方面に市乳原料として販売する。現在の津山酪農工場の設備の拡充を図ると共に,北海道バター株式会社との提携により製品の販路を安定化する。なお,蒜山地区の生乳は,大部分北部酪農業協同組合の津山酪農工場に送る。