ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2002年10月号 > 特集 地鶏肉の特定JAS規格の取得について |
今年度,岡山県内の関係者が協力して,地鶏肉について,来年3月からJASマークを貼付できる体制づくりを準備していますので,JAS規格とその体制の概要を紹介します。
「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」は,農林物資の品質の改善・生産の合理化・取引の単純公正化・使用又は消費の合理化を図るとともに,適正な表示によって一般消費者が選択できることを目的に制定されています。(農林水産大臣が制定する)日本農林規格による格付検査に合格した製品にJASマークの貼付を認めるJAS規格制度と品質表示基準に従った表示を製造業者又は販売業者に義務づける品質表示基準の2つからなっています。これらの2つの制度をまとめてJAS制度と呼んでいます。
近年,消費者の食行動の多様化につれて,輸入食品や新食品(機能性食品)の流通が増えるとともに,消費者の食品の安全性についての関心も高まっています。
また,様々な食品が流通する中で,生産者・製造業者などは,商品が消費者に正しく評価されることを求めています。一方で,行政が広範囲な分野にわたり責任を持つことが期待される社会から,自己責任原則に重点を置く社会への移行が求められ,食品分野においてもいわゆる事前規制型の行政から事後チェック型の行政へ転換することが求められています。
JAS規格には「一般のJAS規格」と「特定JAS規格」があります。
「JAS規格(一般)」は農林物資規格調査会における利害関係者の審議を経て定められ,それぞれの品目毎に品質に関する基準と表示に関する基準が設けられています。
品質については品位・成分・性能などの項目ごとに基準が定められています。表示については,表示事項として品名・原材料名・内容量・賞味期限・保存方法・製造者の氏名と住所などを一括して表示することや,表示してはならない事項などが定められています。
JAS規格には,特別な生産・製造方法についての基準を内容とする規格があり,これを「特定JAS規格」といいます。特定JAS規格は,特別な生産方法や特色ある原材料などをうたう商品が出回りその需要が増えるにつれ,消費者や需要者がその内容を適正に判断できるよう統一的な基準を作って円滑な生産・流通を図るための仕組みが必要になってきたため,平成5年のJAS法改正において導入されたものです。
特定JAS規格は,平成13年10月現在,熟成ハム類,熟成ソーセージ類,熟成ベーコン類,地鶏肉,有機農産物及び有機農産加工食品について定められています。
地鶏肉については,平成11年6月に「地鶏肉の日本農林規格」が制定されており,一定の飼育方法と鶏種(地鶏肉の規格 第3条)を満たすことが必要です。
岡山県内の特定JAS規格を取得できる地鶏は次のとおりです。
おかやま地どり
(参考:年間生産羽数 25,000羽)
岡山桃太郎地どり
(参考:年間生産羽数 390,000羽)
・在来種由来血液百分率が50%以上のものであって,出生の証明(在来種からの系譜,在来種由来血液百分率及びふ化日の証明をいう。)ができるものを使用していること。
・ふ化日から80日間以上飼育していること。
・28日齢以降平飼いで飼育していること。
・28日齢以降1u当たり10羽以下で飼育していること。
(在来種38種) 会津地鶏,伊勢地鶏,岩手地鶏,インギー種,烏骨鶏,鶉矮鶏,ウタイチャーン,エーコク,横斑プリマスロック,沖縄髯地鶏,尾長鶏,河内奴鶏,雁鶏,岐阜地鶏,熊本種,久連子鶏,黒柏鶏,コーチン,声良鶏,薩摩鶏,佐渡髯地鶏,地頭鶏,芝鶏,軍鶏,小国鶏,矮鶏,東天紅鶏,蜀鶏,土佐九斤,土佐地鶏,対馬地鶏,名古屋種,比内鶏,三河種,蓑曳矮鶏,蓑曳鶏,宮地鶏,ロードアイランドレッド |
生産行程管理者が登録認定機関から認定を受ければJASマークを貼ることができます。その手続きは,次のフローチャートのとおりです。
生産行程管理者は,食鳥処理場ごとに,登録認定機関に対し認定の申請をします。登録認定機関は,それに対しJASで定めた認定の技術的基準に基づいて認定を行います。
登録認定機関は,(社)岡山県畜産会が現在登録手続きを行なっています。農林水産大臣の定める基準を満たし登録を受けた登録認定機関は,生産行程管理者の認定を行います。そのためには,認定業務についての規定を定め大臣の認可を受けます。(登録認定機関には公益法人などの法人が受けることができます。)
地鶏肉の特定JAS規格が取得できたあかつきには,消費者の皆様に一層の信頼を得て,特定JAS規格を前面に押し出しながら,風味や味のすばらしさを積極的にPRし,ブランドの確立に向けて努めて参ります。