ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2003年1月号 > 岡山県産和牛トレーサビリティシステムの運用とその効果について |
BSEの発生や食肉を初め食品の偽装表示問題等により,消費者の信頼が失墜していることから,岡山県では,県内で生産され県営食肉市場等へ出荷される県産和牛について,その履歴が確認できるトレーサビリティ(履歴追跡)システムを国に先がけて全農岡山県本部等の協力のもと平成14年10月1日より県内10店舗でモデル的に導入しております。
本システムは,店頭に10桁の個体識別番号が記入できるポップを掲げ,併せてパソコンも設置し,消費者は牛肉を購入する際,表示してある番号をホームページ(おかやま和牛ランド)に入力すれば,生産情報が確認できます。
URL http : //www. meat. pref. okayama. jp/携帯は最後に i が必要
消費者の要望に応えるため1頭ごとの個体情報だけでなく,生産農場情報として生産者の顔や農場写真さらには流通経路情報を提供するとともに携帯電話でも確認できるよう利便性を高めています。
ホームページのアクセス数は,2カ月で約2800件でモデル店の実態調査でも利用者数は必ずしも多いとは言えませんが,消費者の意見としては,店頭に番号が表示されていることと検索できるシステムが確立していることで,購入の都度検索しなくても安心できるとの意見も多いようでした。また,10月27日の牛肉まつりで492人に対しておこなったアンケート(図1,2)でも,トレーサビリティシステムを見たことがあると答えた人は約11%で同様の傾向でありましたが,見たことのある人の内,もともと心配していなかったが良いことだが43%,安心できたが35%,併せて78%がその効果を認めており,他の牛での実施も希望するの16%を加えるとほとんどの人に安心を提供できるシステムとして認めて頂ける結果でした。年齢で見ると20代で7%と低く年代とともに増加し60代では26%と年齢が高いほど食に対する感心が高い傾向も見られました。
ホームページへの肥育農場の登録数は当初40農家でしたが,消費者にPRできることで希望農家が増加し,平成14年12月末現在で77農家になるなど肥育農家の励みにもなっていると考えられます。
10月1日からの導入により,枝肉価格が上昇していることから,少なからず好影響を及ぼしていると考えられます。
このシステムの利用又は知っている人はまだ少ないため,各種イベントでの啓発を引き続き行い,システムの周知を行っていくとともに,番号を表示して頂ける店舗の拡大に努めて参ります。
来年度中には「牛個体識別番号の小売り段階までの伝達」が義務化されることが予想されていることから,全ての牛について履歴追跡できるシステムへの拡大も検討して参りたいと考えています。
このシステムは,生産者,流通業者等にとって負担を伴うものでありますが,食の安全安心対策は,繁殖基盤の強化や改良対策とともに今後の畜産振興を図る上で必要不可欠の取り組みであると考えておりますので,円滑な推進について引続き関係者のご協力とご支援をよろしくお願いします。