| ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2005年3月号 > 〔普及の現場から〕カウコンフォートモデル経営誕生! | 

 勝田郡勝央町の植月勝広さん(57歳)は,カウコンフォート(乳牛快適性)を改善するため,昨年春に牛舎の改造を実施しました。
 植月さんは奥さんの露子さんとともに,成牛40頭・育成牛10頭を飼育しており,日頃から「今の牛舎は牛にも働く人間にも快適とは言えない。もっと,人も牛も楽になれないだろうか?」,「きれいな水を思う存分飲ましてやりたい」と考えていました。そんな折,岡山市で開催された講演会でカウコンフォートの改善方法や効果について知り,取り組みを決意したものです。
 (1) 送風と換気の改善
 送風機を増やして3頭に1基の設置とし,どの牛にも毎秒2m前後の風が当たるようにしました(写真1)。壁の一部を除去してカーテンに変えました。

写真1 送風と換気の改善
 (2) 飼槽の改善
 飼槽を牛が食べやすい高さである牛床から10cmの高さに上げ,ステンレスを張ってすべすべの表面にしました(写真2)。

写真2 飼槽の改善
 (3) 水槽の改善
 連続水槽を導入しました(写真3)。

写真3 連続水槽での飲水行動
 (4) 牛床の改善
 牛床長を10p延長して172pにするとともに,滑りにくく,クッション性の高い素材のマットを敷きました。
 (5) つなぎ方の改善
 ません棒方式から,ニューヨークタイストール方式に変更しました。
 植月さんは次のように感じています。
 (1) 牛がおとなしくなり作業が楽になった。
 (2) エサの食い込みが格段によくなった。
 (3) 脚を腫らす牛が減り,乳頭を踏む牛がいなくなった。
 (4) 獣医の治療回数が減った。
 (5) 夏場の乳量の落ち込みがなかった(図1)。

図1 モデル農家と勝英地区の夏季出荷乳量比較
また,乳量や繁殖成績にも,改善の効果があらわれてきました(図2)。

図2 モデル農家の乳量・繁殖成績推移
勝英農業改良普及センターは植月さんの事例をモデルとして,勝央町・奈義町を中心にカウコンフォート改善技術の普及を行っており,現在まで12戸の農家が実施しています(表1)。
表1 勝英普及センター管内におけるカウコンフォート技術の普及状況
