ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2007年3月号 > 〔畜産農家の声〕和牛の繁殖経営に転換して |
私は,岡山市の南東部に位置する温暖な水田地帯の中で敷地面積100a余りのなかに牛舎,育成舎と3つの開放運動場で和牛繁殖経営を行っています。
昭和30年,父が酪農を始め飼養頭数40頭前後で経営をしていました。しかし,平成14年8月に牛舎が全焼し酪農継続か廃業かの選択の中,当時和牛の受精卵雌仔牛が生まれた事 と「父のまだ牛飼いを辞めたくない」の一言で相次いでの入院もありましたが,酪農に比べて労力の少ない和牛の繁殖経営に転換することとしました。
でも,和牛の知識もない中でのスタートでしたので,諸先輩方の意見を参考に始めましたが,酪農とは違い,いろんな面で考えさせられました。
牛の購入については,まず頭数を増やす事でしたので,系統などはさまざまです。今現在成牛10頭,育成牛2頭,子牛3頭を飼養しています。
我が家の周りでは,休耕田放牧,山間地放牧などは難しいため,今ある現状でいかに運動,日光浴をさせるかを考えて相性のよい牛3〜4頭のグループで,日中運動場に出します。
粗飼料確保については,酪農当時から引き続き幸田酪農組合に所属し,イタリアン(裏作分200a)のロールサイレージとホールクロップ(休耕分)などの粗飼料を6戸の共同作業で確保し通年給与によりコストを抑えています。稲わらについても,個人でロールサイレージにしています。どちらも嗜好性はとてもよいです。
我が家の繁殖牛飼育のポイントは,
・粗飼料は稲わらとサイレージを与え,濃厚飼料は分娩前より受胎まで与えます。
・過肥にしない。
・ビタミンAなど添加物は定期的に与えています。
・牛舎の換気,日光浴と運動で病気をさせない。
・発情の観察と適期の授精
・育種価や枝肉成績が優れおり市場での評価の高い種雄牛を授精
・繁殖牛の改良
子牛飼育のポイント
・初乳を十分飲んでいるか確認する。
・分娩後4日目朝より離す。
・夜電解質を与える。長くなると哺乳瓶で飲まない。
・5日目より生菌添加物を人工乳と3回与える。
・温度変化に気をつける。下痢をさせない。
・個体別に保育する。
・離乳後運動場に出す。バランスのよい筋肉を付ける。
・ビタミン等添加物給与。
・良質な粗飼料(チモシー・スーダン)を給与。
・骨格がよく,胃が発達し,肋張りのよい牛。
・牛とのふれあい
手間を掛ければ良い成果に繋がると思います。
これまでには,多少の失敗もありましたが,諸先輩や関係機関の方々には,大変お世話になり有り難うございました。今後とも宜しく,ご指導お願いします。
子牛の販売価格は,我が家の経営と共に市場平均価格も上がってきていましたが,粗飼料,濃厚飼料の値上げ,自由化など問題はさまざまありますが,今後の市場・肥育農家の皆様に対応できるように,食い込みの良い,健康な子牛を育成する様に心がけてこれからも牛飼いを続けていこうと思います。
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