| ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1996年8月号 > 酪農経営の安定は乳牛達の健康から | 

@ 総乾物中の粗飼料割合は40%以上とする。
A 総感物中のNDF濃度は30〜35%であり,総NDF濃度の75%は粗飼料由来のものとする。
 以上の2点を念頭に置き計算してみますと乳量40〜50sの泌乳最盛期ではスーダン・ヘイ,チモシー・ヘイ,バミューダ・ヘイで10〜12s,オーツ・ヘイで12〜13.5s,ルーサン・ヘイで14.5〜16s,コーン・サイレージ(黄熟期)で42〜50sが必要となります。では,実際に牧場でこの量が給与されているでしょうか。現実には牧場で乳牛に給与されている量は乾草で9s程度のようです。この現象から指摘される点は,朝夕の2回給与では限界があるということです。粗飼料も濃厚飼料と同様に,多回給与にしなければならない理由がここにある訳です。この量の粗飼料を乳牛へ摂取させることが可能となれば,乳牛達は健康で,かつ,最大限の仕事をしてくれるのでしょう。
 次に穀類等の給与量について考えます。穀類とはトウモロコシ,大麦,小麦,マイロ等をいいます。計算にあたり制限となる項目は次の点です。
@ 総乾物中の澱粉の濃度は20〜25%とする。
 粗飼料の給与量の計算と同様に行いますと乳量40〜50sに対応する穀類の給与量は,実際に給与可能な数字として7〜8sとなると思います。配合飼料の中には約半分の穀類が含まれていますので,配合飼料の最大給与量としては14〜15sが適当といえます。ただしコーン・サイレージでは澱粉含量が多いので,穀類給与に際しては注意を要します。
 その他の項目は次の点です。
@ 総乾物中のNFC(非構造性炭水化物)濃度は35〜40%とする。
A 総乾物中のDIP(分解性タンパク質)濃度はおおむね9〜10%を目標におく。
B SIP(溶解性タンパク質)濃度は4〜5%を目標とする。
C CP中のUIP(非分解性タンパク質)割合は40%とする。
 以上の数値を満足させるべく,製造粕類,油粕類,ヌカ類,大豆圧ペン,綿実等の給与量を計算していきます。
 今,私達が扱っている乳牛達は改良の結果大きく変容しています。10年前の乳牛達ではないのです。この困難な酪農情勢を乗り切るには彼女達を健康に飼育し,能力を最大限に引き出すことが大切な点だと思います。
 将来にはきっと明るい酪農が待っていることを信じて,酪農家の皆さんの御健闘を祈るものです。