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乳牛飼養管理の省力化技術について
旭地方専技室主幹 片 山 勇
酪農は収益性の維持,拡大を図るため規模拡大が進んでいるが,それにともない労力問題が深刻化しつつある。こうした中で近年,フリーストール・ミルキングパーラー方式をはじめ,搾乳作業の省力,軽減機械や給餌作業の機械化など労働時間の短縮のための施設,機械の導入が行われている。
1.飼養管理時間の現状
農水省生産費調査報告(H.6)によると40頭規模の搾乳牛1頭当たり労働時間は120.2時間で(表1),内訳は飼料の調理・給与が33.4時間,搾乳作業54.6時間とこの2作業で全体の73.2%を占めている。この2作業の数年の変化を見ても動きは少ない(表2)。搾乳作業はわずかに減少しているが,給餌作業については給与回数の増加により年々わずかながら増加が見られる。飼養管理労働時間は年平均で2.2%程度減少しているが,規模によりバラツキも大きく労働時間の短縮が今後の課題である。
◎表1 飼養管理時間
(40頭規模 搾乳牛1頭当たり時間)
| |
飼料調理給与 |
敷料の搬出入 |
飼育管理 |
搾乳及び牛乳処理 |
その他 |
計 |
| 時間 |
33.4 |
14.7 |
16.1 |
54.6 |
1.4 |
120.2 |
| 割合(%) |
27.8 |
12.2 |
13.4 |
45.4 |
1.2 |
100.0 |
(平成6年農林統計)
◎表2 主な作業の年次変化
(時間)
| |
平成1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
| 搾 乳 |
57.7 |
58.1 |
60.1 |
61.0 |
56.0 |
54.6 |
| 飼料給与 |
30.0 |
30.9 |
30.1 |
32.4 |
33.0 |
33.4 |
2.搾乳作業の省力化
ミルキング・パーラー:作業能率は搾乳室のタイプとストール数によって異なるが,ヘリンボーン型(ピット型)は構造が比較的簡単で作業能率が高いので県内でも導入事例が多い。筆者らの調査によると牛乳100sの搾乳,牛乳処理に要する時間は25.8分,つなぎ搾乳では37.1分と約70%に省力化された。また,ピット型の搾乳室では搾乳時の作業が直立姿勢が多くつなぎ搾乳にくらべ疲れが少ない。
ミルカー移動システム:つなぎ牛舎の天井にレールを張り巡らせそれにミルカーユニットを吊して移動し,搾乳作業で負担になるユニットの持ち運びを軽減する。特に近年は省力化のため自動離脱装置を付けることが多くユニットが重くなるためユニットキャリーを設置する農家がある。このシステムは自動離脱装置とセットで導入して搾乳作業の省力,軽労働化の効果が大きい。
3.給餌作業の省力化
飼料給与の省力化技術は飼養管理方式によって大きく異なり,群管理を行う放し飼い方式と個体管理を行うつなぎ飼い方式では牛舎構造をはじめ各種の機械,施設が異なってくる。放し飼い方式ではコンプリートフィダーの導入によって飼料給与の省力化が図られている。
つなぎ飼いの場合は個体管理を目的に濃厚飼料用の自動給餌機の導入が行われている。この自動給餌機はつなぎ飼い牛舎に適した給餌システムで各ストールごとの給餌量がコンピュータにより制御されている。このシステムはストール全面の天井に設置したレールに給餌装置を吊り下げモーターで駆動走行し,予めプログラムされた各牛ごとの給与量を供給する。この給餌装置には2種類の飼料が別々に積み込めるようコンテナが装備されている。給餌が終わると元の出発位置に戻り電源のバッテリーは自動的に充電される。また飼料の補給は飼料タンクより自動的に行われ,指定した時刻に多回給与することができ,給餌作業の省力化と生産性の向上が期待される。
以上,飼養管理作業の省力化技術について述べたが,導入にはいずれも多額の投資が必要になるので牛の生産性や経済性について検討する必要がある。