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ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1997年11・12月号 > 「和牛経営に取り組む地域の女性リーダー」 |

阿哲郡哲西町は,岡山県の北西部に位置し,西は広島県に隣接しています。稲作が盛んな地域であり,和牛の飼育も広く行われています。
哲西町では,飼育戸数61戸で約260頭の和牛が飼育されています。
今回紹介する上田ちず子さんは,哲西町の西南部,大野部で和牛経営を行っています。
代々,畜産経営を営む上田家に嫁がれたちず子さんは,自然に牛飼いに取り組むようになったそうです。昭和55年に多頭化を図るため牛舎を新築し,現在の基盤ができました。以後,「これからの畜産はコストをいかに引き下げるかがポイント」であると考え,ビニールハウス牛舎を建設しました。ほとんどを手作りし,木造や鉄骨で建設するのに比べ3分の1程度の費用で済み,創意工夫ある取り組みを実践されています。
牛飼いについては,「時には辛いこともありますが,そんなときは鼻歌を歌いながら,気分転換しています」と笑って話されるちず子さんは現在,繁殖牛の育成についても,女性ならではのきめ細かい心遣いで,順調な牛飼いを行っています。
また,平成4年からは岡山県女性農業士として,また平成8年に結成された哲西町和牛婦人グループの初代会長としても活躍されています。これらの活動では「農業の勉強はもちろんのこと,何よりも外に出ていろいろな人と話ができるのが楽しく,励みになっています」と今後も積極的に交流を図っていく考えです。
「祖母や両親が,毎日牛の世話をする姿を見て育ったこともあり,迷わず和牛の道を選びました」と話す長男の稔さんが平成6年から肥育部門を担当し,経営参加することになり現在の繁殖肥育一貫体制ができました。
後継者が誕生し,作業負担も少なくなり,今では花や野菜作りをする余裕もできたそうです。
このようにちず子さんは,家族とともに規模拡大,後継者誕生,一貫経営の確立と地域農業をリードしてきました。また,今後は「私たちの経験に息子の技術を組み入れて,一貫経営が軌道に乗るよう頑張りたい」と話され,繁殖部門については,「一貫のメリットを生かし,肥育した牛のデータをもとに,交配や保留の参考にしながら,優良雌牛群を作っていきたい」と力強く話して下さいました。
5 経営規模
| 飼育頭数 | 成 牛 | 18頭 |
| 育 成 牛 | 1頭 | |
| 子 牛 | 10頭 | |
| 肥 育 牛 | 36頭 | |
| 飼料作物 | イタリアン | 30a |
| 水 稲 | 110a | |
| 施設・機械 | 牛 舎 | 4棟 |
| 堆 肥 舎 | 1棟 |
上田 勝士 |
経営主 |
ちず子 |
本 人 |
稔 |
長 男 |
靖浩 |
次 男 |
ユキ子 |
母 |