| ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1999年4月号 > 「飼料作物の生産推進について」 | 

 乳用牛・肉用牛農家の経営安定を図るためには,大家畜の飼育管理に欠くことのできない自給飼料の生産が極めて重要であることから,農林水産省で現在進められている「農政改革大綱」で,「現在輸入依存度の高い麦・大豆・飼料作物を中心に,コストの低減,品質の向上等の目標を明確化し,生産性や品質の向上のための技術革新等をも図りつつこれを実現しながら,生産拡大を図っていくことが必要である。」と述べられており,山林原野等を機械利用できる飼料基盤として造成改良するとともに,既存草地を効率的に利用するための整備改良を推進する必要があり,耕種農家との連携を強化し,転作田等を有効に活用した飼料生産を推進するほか,飼料生産請負組織(コントラクター)を育成し,畜産農家の労働力軽減や家畜ふん尿の土地還元等を通して経営安定を図ることが重要です。
 このため,飼料作物の生産推進については,飼料生産基盤整備事業(畜産基盤再編総合整備事業・農業公社牧場設置事業等)を基本に自給飼料生産利用対策事業(コントラクター育成モデル事業・飼料作物優良品種選定普及促進事業等)や飼料生産利用対策事業(高能率飼料生産モデル事業等)及び水田飼料作物生産振興(緊急対策)事業・国産粗飼料増産緊急対策事業等の指定助成事業の実施により生産拡大を図らなければならないと考えております。
| 区 分 | 昭和55 | 昭和60 | 平成元 | 平成5 | 平成8 | 平成9 | |
| イタリアンライグラス | 田 | 4,335 | 2,914 | 2,270 | 1,950 | 1,340 | 1,320 | 
| 畑 | 1,102 | 935 | 1,040 | 818 | 618 | 612 | |
| 計 | 5,437 | 3,849 | 3,310 | 2,768 | 1,958 | 1,932 | |
| トウモロコシ | 田 | 946 | 989 | 1,210 | 817 | 606 | 505 | 
| 畑 | 792 | 859 | 905 | 772 | 613 | 538 | |
| 計 | 1,738 | 1,848 | 2,115 | 1,589 | 1,219 | 1,043 | |
| ソルガム | 田 | 530 | 456 | 488 | 364 | 341 | 365 | 
| 畑 | 575 | 366 | 488 | 482 | 294 | 324 | |
| 計 | 1,105 | 822 | 976 | 846 | 635 | 689 | |
| 牧草 | 田 | - | - | 360 | 330 | 370 | 310 | 
| 畑 | - | - | 3,040 | 2,742 | 2,422 | 2,298 | |
| 計 | - | - | 3,400 | 3,072 | 2,792 | 2,608 | |
| その他 |  | 2,002 | 1,534 | 671 | 1,140 | 1,028 | 1,015 | 
| 計 | 10,282 | 8,052 | 10,472 | 9,415 | 7,632 | 7,287 | |
 世界の食料需給について,長期的にはひっ迫する可能性もあると見込まれる中で,国民の必要とする食料を安定的に供給するとともに,不測の事態における食料安全保障を確保するため,昭和36年に制定された「農業基本法」の見直しが平成9年4月から行われており,食料・農業・農村基本問題調査会で,我が国における食料,農業及び農村に係る基本的な政策に関して審議され,「くらしといのち」を基本に,自由で活力のある我が国経済社会の中に,足腰の強い産業として的確に位置づけ,構造改革の推進と担い手や地域の創意工夫・自主性の下に,未来に向けてその力を最大限に発揮することが求められています。
 特に,畜産分野においては,飼料用穀物の海外依存からの脱皮を図るためには,国内の農地の有効利用を考えなければならず,水田の有効な他用途への利用が課題となっており,麦・大豆と並んで飼料作物の栽培が注目を浴びております。殊に,中山間地域での多様な食料の生産と国土・環境保全等の多面的機能の低減の防止と草地資源の活用等により,飼料の国内生産を拡大していかなければならないと述べられております。
 また,家畜の糞尿や食品残さ等の有機性廃棄物の資源としての再利用を高めることは,農業本来の自然環境機能を高め,持続的な社会の構築に果たす役割も大きく,その促進を図ることが期待されており,飼料作物の生産は,家畜の糞尿処理対策の面からも大きく期待されているところです。
 Uのとおり飼料作物の栽培面積は年々減少傾向にあり,いかに効率よく飼料作物を栽培し収穫・調整するかが今後の大きな課題です。
 そのためには,地域に適した飼料作物の栽培・普及が不可欠であるため,「岡山県飼料作物耕種基準」の改正に向けて,先般,飼料作物の奨励品種の見直しを行ったところであります。
 また,社団法人岡山県畜産会が以前発刊した「自給飼料のすべて」の改訂作業も進められており,平成11年度内には関係者に配布されることとなっております。
 農家の皆様はじめ,関係機関におかれましては,「岡山県飼料作物耕種基準」「自給飼料のすべて」等の飼料作物の栽培に関する資料を十分活用いただき,又,補助事業の適切な導入も図りながら,一層の飼料作物の生産推進に努め,飼料自給率の向上による力強い畜産経営を目指して参りたいと考えております。