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ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1999年11・12月号 > 酪農教育現場から |
酪農は戦後,急速な発展を遂げた重要な戦略部門であるが,ここでも担い手問題は重要課題である。全国3万5千戸弱となった現在もなお離農者は続いている。
慢性的な農業後継者不足の解決に向け,先に公表された「農政改革大綱」では「多様な担い手確保」という政策軸が打ち出された。足腰の強い農業展開を目指し,多様な就農ルートを通じ幅広い人材確保・育成を進めるものである。
食糧安全保障の確立と多面的機能の維持を2本柱とする21世紀農業の実現は,これを支える人づくりに行き着くだろう。
本校は,酪農後継者の養成を行うことを目的とした,全国唯一「酪農」のみを専門的に教育する施設である。
この酪農大学校にも,年間3,000人余りの見学者(主に消費者)が訪れる。その内の半数は小学校・中学校の子供達で,搾乳,子牛への哺乳,エサやり等の酪農体験学習をしている。
子供達は,初めて牛乳を搾ったときの牛乳の温かさにまず感動し,「温たか」と思わず声を出している。(普段冷たい牛乳ばかり飲んでいるからであろうか?)それから搾った乳の出る勢いに感動して,「うわあ,すごい」迫力がある,先生も搾ってみ!というようなことをいっている。
ジャージー牛とたわむれる子供達 |
見学に訪れた小学生(搾乳体験の説明を受ける子供達) |
いづれにしても「命があるんだな」という実感は子供達にとって大変貴重な経験であると思う。
また,子供達は本来,生き物が非常に好きなようで,本校の牧場にきても,初めのうちはとまどっているが,すぐになれて牛の頭や首をなでたり,背中のへんをさわったりして,集合の時間がきても牛から離れようとしないで,引率の先生がこまっている様子をよくみかける。
学校を訪れる一般消費者の中には「乳牛は出産しないとミルクが出ないんですよ」と言うと唖然とされたり,あるいは平然と「牛乳には水をどのくらい混ぜるんですか?」と聞く人もいる。
牛乳は日本の食生活の基本的な食品であり,子供達の成長にとって非常に大きな役割を果たす食品でもある。年間の消費量は原料乳で換算すると1千2百万トン。米が1千万トンであるから,国内において大きな消費量をもつ食品でもあるのに,その生産の実態については意外と知られていないような気がする。
多くの子供達に酪農とのふれあいを通じて,命の大切さや自分以外の人々や動物に対する思いやり,優しさを体験的に学べる機会を与えてやることや,より多くの消費者の方々に酪農を理解していただくことも酪農後継者養成現場の役割ではないかと考えている。