ホーム>岡山畜産便り>岡山畜産便り昭和25年2月

調査及技術指導
『甘藷養鶏』について

K・O生

 最近甘藷養鶏が,斯界の話題になっているので,茲におそまきながら社団法人日本養鶏協会に於ける『甘藷養鶏奨励要項』なる全文を掲載し,読者諸賢の参考に資することにした。

甘藷養鶏奨励要項

一.目的

国内に多産し且増収容易である澱粉価の高い甘藷及び茎葉を主体として,これに不足する蛋白質は,米リンク用魚粕,或は魚肥として獲得したものを鶏糞と置換える等によって農家食糧等より生産する槽糠類を以て調理し良質廉価で完全なる飼料による養鶏を営むを目的とする。

二.計画

甘藷は栽培の分布収量等から全国的に一率には困難な状態にあるので第1年度は先づ全国飼養羽数の1%20万羽とする。

三.調査研究

実例を調査し国立種苗牧場,県種畜場等に試験研究の委託を行う。

四.指導

講習,講話会の開催,甘藷養鶏指導書の配布等を行う。

五.蛋白質飼料の供給確保

(イ)魚粕,魚肥の飼料化促進運動
(ロ)大豆粕の輸入懇請
(ハ)其の他蛋白質飼料の養鶏飼料化運動

参考例1

高橋廣治氏の甘藷養鶏法

(イ)目標羽数
7,541万羽で其の内訳は次のようである。

農 家 戸 数 自給養鶏対照農家戸数 同左の自給養鶏羽数
耕作反別 戸 数 自給養鶏奨励割合 同左なる戸数 1戸当自給養鶏奨励羽数 同左による羽数
5反−1町未満 130万戸 6割 78万戸 30羽 2,340万羽
1町以上 130万戸 8割 104万戸 50羽 5,200万羽
計 260万戸 182万戸 7,540万羽

    備考 日本農家戸数540万戸

(ロ)30羽用自給飼料養鶏計画
耕地1町歩を所有し田7反歩,畑3反歩の割合で耕作すると自給養鶏30羽できる其の内訳は次のようになる。

作付品種 自給養鶏用飼料 牧   量   並   に   説   明
甘藷 438.0貫 甘藷2反歩栽培収量2,000貫,供出1,500貫,自家用食糧400匁,養鶏用500匁
甘藷蔓 219貫 苗床後地利用2畝歩,夏季250貫収穫予定
大小麦 72貫 畑2反5畝収穫12俵,二毛作3反歩大俵計18俵,内養鶏飼料として利用4俵半
米麦糠 36.5貫 田7反歩畑3反歩収穫,米42俵,麦18俵,供出40俵,米麦残り20俵より得らるる糠類
大根葉 127.4貫 畑5反歩の大根葉
魚粉 43.8貫 肥料としての配給品を利用する計画なるも近年魚肥の配給がないので特に食りょう魚粉を利用又は胴練を採用

   「備考」これによって生産卵の見込数量は1ヶ年4,500個(重量にして67.5貫の見込)。其の他鶏糞の生産量

(ハ)30羽自給養鶏飼料配合

品   名 夏季の配合量(1日) 含有蛋白量 秋冬の配合量(一日) 含有蛋白質 摘     要
生甘藷 1貫200匁 22.0匁 1貫200匁 32.0匁 本配給は最少配分量であるから多産鶏はこれ以上与えなくてはならぬ
生甘藷蔓 1貫200匁 14.1匁 − −
大小麦 200匁 23匁 200匁 23匁
米麦糠 100匁 12.1匁 100匁 12匁
大根葉 − − 700匁 24.4匁
魚粉 120匁 71.6匁 120匁 71.6匁
計 2貫820匁 142.7匁 2貫320匁 149匁
乾燥量 940匁 1羽1日量の蛋白は4匁7 670匁 1羽1日量の蛋白は4匁7

参考例2

甘藷養鶏の実例  東京都八王子市大和田
須田 章 提供
(イ)1,000羽に対する日量給与分量

飼    料 重   量 説               明
甘藷エンシレーヂ 30.00貫 以上の飼料を混合し藷は摺りつぶしてよく練合せ約20%の水を加えて給餌しましたところ,鶏の嗜好に適し喰べがよく冬季若雌で70%以上,老雌で50%以上の産卵を見せ,健康もまだ佳良にして冠の血色がよく廃鶏は僅か数羽のみで敷物より以上に十分な効力を認めました。
米糠 10貫
麦糠 10貫
屑小麦粉末 3貫
魚粉 2貫
大豆粉 2貫
カキガラ,コロイガル 0.5貫
食塩 0.13貫
合     計 52.63貫
他に大根葉 (7−10)貫

(ロ)10羽に対する日量

飼    料 重   量 説               明
甘藷又は馬鈴薯 400.0匁 以上の飼料の外に緑餌100匁を細切して与えますと産卵,健康共に効果が大であります。勿論左記の数字はほんの一例であって,実際には当時者が更に創意工夫をこらし其の地方の特産物,屠殺場,魚場,圃場産の残物,副産物を利用致し,甘藷,馬鈴薯の如く澱粉のみ多く蛋白質及び無機質に乏しい飼料に補走したならばより大きな効果を挙げ得ると思います。
上乾燥藷の場合 120匁
麩米糠,乾甘藷蔓粉 100匁
穀類の粃 50匁
魚粉 20匁
大豆粉 20匁
カキガラ又はコロイカル 5匁
塩 1.3匁
計 596.3匁