| ホーム>岡山畜産便り>岡山畜産便り昭和25年7月 |
養兎界の現況をでき得る限り毎号掲載して御参考に供したいと思う。兎飼育上の一指針となれば幸甚である。
御承知の如くアメリカは我国アンゴラ兎毛の最大顧客であり,その兎毛事情についてはアンゴラ関係者すべて最大の関心を寄せているわけであるが,最近アメリカ農務省畜産局よりアンゴラ兎毛の輸入状況について次のような状況がもたらされた。
1944年(昭和19年)以降のアメリカのアンゴラ兎毛輸入状況は下表の如くで逐年増加の一途をたどりつつあるが,量の増加に対して価格の著しい低下は下表の指数についても明瞭である。
| 年次区分 | 1944年 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 |
| 数量 | 537LBS | 1,295LBS | 74,340LBS | 30,813LBS | 145,061LBS | 149,542LBS |
| 指数 | 0.7 | 1.7 | 100 | 41.4 | 195.1 | 200.7 |
| 価格 | 7,056ドル | 8,715ドル | 585,406ドル | 228,898ドル | 858,880ドル | 701,319ドル |
| 指数 | 1.2 | 1.4 | 100 | 39.1 | 146.7 | 119.6 |
1994−5年における輸入量が極めて少なかったのは戦中戦後の世界交通の混乱によって北米大陸,カナダ,メキシコのみにその供給を求めたためで戦後交通が再開されてから供給基地は逐年その数を増し46年には,カナダ,メキシコの外に日本,フランス,イタリー,オランダ,英国が加り,47年にはデンマーク,48年にはアルゼンチン,オーストリヤ,49年にはベルギーが加って11カ国がアメリカに対するアンゴラ兎毛の供給源となっている状況である。
1946年以降におけるアンゴラ兎毛のアメリカに対する各国輸出量は下表の如くであって,イタリーフランスは各年次を通じて,高率を示し日本デンマークはこれに次いでいる。46年及び48年のイタリー49年のフランスは圧倒的に多く55%以上を示し,日本は46―47年には約10%であったが49年には17%の高率となっている。
| 年次国別 | 1944年 | 1945年 | 1946年 | 1947年 | 1948年 | 1949年 |
| カナダ | 92 | 3 | 3.5 | 7.3 | 4.6 | 2.1 |
| メキシコ | 8 | 97 | 8.9 | 16.5 | 10.1 | 6.4 |
| 日本 | 9.9 | 9.6 | 0.3 | 17.2 | ||
| イギリス | 1.5 | 1.4 | 0.2 | 1.6 | ||
| フランス | 16.5 | 19.8 | 24.3 | 56.4 | ||
| イタリー | 59.2 | 29.1 | 55.7 | 9.8 | ||
| ネザーランド | 0.5 | 0.5 | − | − | ||
| デンマーク | 15.8 | 0.6 | 6.3 | |||
| アルゼンチン | 3.9 | − | ||||
| オーストリア | 0.3 | − | ||||
| ベルギー | 0.2 | |||||
| 計 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
我国の兎毛輸出量比率は前表の如く相当重くみられるのであるが,封度価格については常に平均価格以下を示している現状であって,これはアメリカ向としての兎毛の品質とその取引とに原因があるものと考えられる。
即ちアンゴラ兎毛の品質については,アメリカにおける兎毛の利用方法が洋服地や毛糸の製造にあるため好んでフランス産兎毛のような荒い兎毛が高く評価されている。本邦産アンゴラ兎毛の欠陷については過度に柔軟であることが2,3のバイヤーとの文通によっても明らかとなっている。又取引についても,従来より固定したバイヤーとの取引が多く新たなバイヤーの獲得に努めていないことも価格の不利を招いた大きな原因と考えられ,将来の大きな研究課題である。
海外における兎毛区分の方法は吋によるクラス別の基礎的条件として
一.センター・バック(背毛)
二.サイド(腹毛,ワキ,足毛,ムナ,ホホ毛,尾毛)
に区分して,さらにこれをインチによって等級をつけている。サイドはセンターバックに比し毛の色沢,弾力において及ばず,これ等の各等級の毛は,その用途によって別々に振りむけられてゆく。したがって,サイドがセンター,バックに比し価格が安いのは当然であり我国の如く背と腹を一山いくらで出荷する原毛が安いのは当然である。飼育者はこの点に留意して,背と腹を別にした兎毛を集毛機関に手渡すよう心掛くべきである。
かくする事により,良質な,センター,バックを海外向とし,サイドを国内に向ければ将来国際市場において確固たる,信用と地盤を確立し得るであろう。
先般来南九州を中心としてレッキス兎の普及を試みられていたが,これは,その後各地に普及して北九州を始め中国近畿と更に最近では山梨県にも盛んになったようであるが,レッキス兎の毛皮については,現在の処海外の需要がなく国内の需要程度も詳ではないのと,種畜価格が余りにも高価であるので,現状においては特に農村に敵した副業とは俄かにいい難いが,昨年末よりレッキス兎毛皮の海外進出国内需要について,株式会社レッキス奨励会(宮崎県都城市社長米田99)では鋭意努力中で兎毛輸出業者で,アメリカ毛皮バイヤーウールマン商会の代理店大興物産株式会社(東京都台東区浅草橋2ノ21社長上原政兵衛)に見本を呈示して交渉の結果生産兎毛皮は総て時価で買取る約束ができた。
兎毛皮の大口輸出業者の一である。大興物産株式会社は,レッキス兎毛皮の輸出は始めてであるため取り敢えず見本到着次第飛行便でウールマン商会に送り,折角輸出に努力するが,不適格品は国内需要に向けるといっている。
なおレッキス奨励会では有色兎毛皮は輸出として,販路が狭いという点に鑑み白色(アーミン)レッキスに主力を注ぎ(白色兎毛皮は種々の色に染色し得るので模造毛布を造る上に最も重宝であって,利用範囲が広いから毛皮中最も歓迎される)更に飼育者が白色日本種或はアンゴラ兎を希望する場合は,其等も併せて取扱っても良いといっている。
追って農林省,当局ではレッキス兎毛皮の国内における販売価格は白色日本種兎毛皮と大差ないと考えているので種畜価格もこれに接近させる必要ありとの見解を持っている。
(註)この養兎通信は農林省,畜産局,生産課より配付の「アンゴラニュース」より抜粋収録したものである。