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緑餌はビタミンA,Dと無機物の2点で必要とされているが,これらのものは緑餌以外の飼料からでも得られるわけで飼料が合理的に配合されてあれば,この緑餌を与えなくてもビタミン欠乏症,無機物的特にナトリウム,カルシウム等の欠乏による発育不良や産卵減退或は産卵休止等の様な障碍を起すことはない。
しかし緑餌が持っている性質即ち
(1)植物飼料中最上の灰分給源であること。(2)蛋白質の種類として優秀なものを含有していること。(3)卵黄の色を濃くする力は黄色玉蜀黍以上であること等や,鶏が緑餌を生理的に欲求しているらしい事等を考え合わせば,あながち不必要のものとしてきめつけてしまうことは出来ない様に思われる。
一方合理的な配合飼料を給与することは今日の飼料事情のもとでは至難のことであり,糟糠類(米糠,麦糠,麸等)を主体とした養鶏が行なわれている現状からすれば緑餌の給与は必要かぐべからざるものとなってくる。
我々の身辺にある青菜がこの緑餌源であり(草の利用については,ひとまず筆を擱く)青菜を作って鶏に与えればそれで事足りるわけである。
しかし,相当羽数の鶏を飼養している場合,年間絶え間なく与えることは簡単な様で,うまくゆかない。都市近郊の蔬菜供給地帯で多量の廃棄物を利用するにしても,年間均等な給与源とはならない
極く少羽数の場合,家庭菜園の蔬菜で間にあわしても,青菜の欠乏する2−4月頃はどうにもならない。
この様に考えてくると飼養する鶏の羽数が多かれ少なかれ緑餌作物を作付し,冬期間の欠乏時期に備えることが必要である。
なお相当羽数の飼養の場合は,年間緑餌作物を作付し,緑餌の自給態勢をうちたてることも必要である。
(1)緑餌作物の種類
従来より栽培されている作物としては別表1に記載した様なもので殆んどすべてが我々が食用に供している蔬菜類である。
これらのものを土地,気象その他色々の条件を考慮して選択し作付しなければならない。
(2)2−4月頃の青菜欠乏期に備えるためには秋9月頃の播種期に耐寒性の強い水菜,小松菜を播き或は野菜ではないがライ麦とベッチを9月中旬から10月上旬の間に混播すればこの欠乏時期に青刈りして用うることができる。
(3)年間絶え間なく緑餌を得るためには所謂輪作栽培を行うわけで最初厚播にして順次間引き利用すると共に残部の生長を促し,また一部の収穫利用後は逐次,次期作物を導入して間断なく跡地を利用する方法である。
この場合地力,気象などの自然的条件や土地,面積,肥料,労力などの経営的条件により作付すべき作物を決定し又1つの地積に一例(例えば別表2の123或は2,3等を作付するか,或は1つの地積を細分して数例(例えば別表2の123,或は23等)を作付するか等の栽培方式を決定しなければならない。
緑餌作物の組合せ及び反当予想生草量につき農業技術研究所,阿部技官は別表2の様に示している。
以上の如く緑餌作物の作付により必要な緑餌を確保するわけであるが他面冬期間雪のために作付出来ない地方では大根葉,蕪菁菜,甘藷の葉或いはトゲナシアカシアの葉,萩等をバサバサして手でもむと粉末になる様に,日光で乾燥し貯蔵しておくことも1方法であろう。
米国において舎飼の鶏に如何にして青いものを給与するかが需要問題となり現在一番広く用いられているのはアルファルファ・ミールとアルファルファ・リーフ・ミールであるがその他にスーダングラス・ミール,人工クローバー乾草クズ・ミール,等が注目され用いられているサイレイジの利用については未開拓の分野もあるが次第に普及利用されているので簡単に紹介してみたい。
材料 大根葉,蕪青菜,カンランその他の葉菜類(カンラン等水分含量の多いものは十分に水を切ることに注意しなければならない)
米国では,早刈オートグラース,アルファルファ,レッド・クローバーホワイト・クローバー等が利用されている。
大根葉に例をとれば霜が強くなる前に大根を収穫し葉を切りはなし葉をそのまま畑に2−3日乾かして,十分乾燥してから押切りを使ってできるだけ細かに切る。出来うれば太い葉脈から葉をむしりとって葉だけを刻む。
乾燥の程度は容器に詰めてかたく踏みつけるときジクジクと水がしみ出ない程度。
容器 空気を完全にさえぎることの出来るもの,割れ目やフシ穴のない完全な4斗樽などは好箇のものである
詰め方 普通のサイロの場合と同じで平均になるように材料を少しずつ入れ,十分に踏圧して空気を追い出す。詰め終わるとその上に厚めの紙を重ねて空気をさえぎり,さらに粘土を2寸位入れてかためる。なおその上に木の蓋をおいてタクアンヅケ程の重石をしておけばよい。
与え方 出来上ったサイレイジは黄緑色に変り,甘ずっぱく,ハッコウ物独得の香りがする。水分が多くて失敗したものは菜づけの様な臭がする。鶏の飼料には1日1羽当り6.7匁−10匁位を与え濃厚飼料の約3分の1か4分の1位を与える。
大根葉で4斗樽1本で12−13貫詰まり10羽位なら4ヶ月の給与が可能である。
材料の大根菜は1坪当り生で1−2貫で半乾燥にして詰めると1畝位の大根畑で4斗樽1本がつけられる。
材料はすべて適当に脱水して腐らせない様にし又よく踏み込んで空気を排出しカビの生えないように,詰め込みは一時にやってしまうことが必要である。
| 作 物 名 | 播種期 | 収穫期 | 備 考 |
| 時無大根 | 3下〜5下 | 5上〜6中 | 條播し最初は間引利用す |
| 小松菜(春播) | 3下〜4下 | 5 〜 6 | 寒気にやや弱い |
| エンバク オクナ |
3中〜4上 | 5下〜6中 | エンバクは寒気に弱い。オクナと根播で防寒目的を達しうる |
| 山東菜 | 3 〜 4 | 5 | |
| 菠薐草 | 3 〜 4 | 4下〜6上 | |
| 龍舌菜 | 4 | 6上〜8中 | 播種後1ヶ月位で定植す |
| 美濃早生大根 | 6上〜8上 | 7 〜 10 | 厚蒔にすると地上部の繁茂が促進される |
| 燕菁 | 8上〜9上 | 9中〜10下 | 條播し最初は間引利用す |
| オクナ | 8上〜 中 | 12 中 | 寒気に強い |
| 甘藍 | 9中〜播種 3中〜定植 |
5下〜7上 | サクセツシヨン系 |
| ライ麦 | 9中〜10上 | 10 〜 4 | |
| ベッチ | |||
| 秋大根 | 8上〜 中 | 10上〜11下 | |
| 小松菜(秋播) | 9上〜10中 | 10 〜 4 | |
| かんしょ | 6上〜9下 | 7 〜 9 | 小畦として窒素分を多用す。品種は農林1号の如き蔓のよく伸びるものを用いる |
| 京菜 | 10 上 | 1 〜 3 | |
| 青刈菜種(レープ) | 9中〜10上 | 4 | |
| 菠薐草(秋播) | 9 〜 10 | 1 〜 4 | |
| 不断草 | 4上〜7下 | 7上〜10上 | |
| 体菜 | 9上〜10上 | 12 | |
| ケール | 2 〜 4 | 適 宜 | |
| 掻菜大根 | 3下〜11上 | 〃 | |
| チシャ | 冬以外は何時でも可 | 〃 | |
| クローバー | 9 中 | 5上〜10上 | |
| ルーサン | 9 中 | 5上〜10上 |
| (別表2) |
| 1.時無大根(小松菜(春播))−→美濃早生大根−→蕪 菁−→ライ麦 ベッチ |
| (反当700貫) (反当700貫)(反当800貫) (反当700貫) |
| 2.龍 舌 菜−→蕪 菁−→小松菜(秋播) |
| (反当700貫)(反当800貫) (反当700貫) |
| 3.甘 藷−→美濃早生大根−→蕪 菁−→ライ麦 ベッチ |
| (反当800貫) (反当700貫) (反当800貫) (反当700貫) |
| 以上の如き作付方式で100羽につき1畝歩の面積で緑餌の自給態勢が可能である(毎日1羽につき6−8匁の給餌) |