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 愈々待望の全国和牛共進会も余すところ,1ヵ月となり主催者並びに開催地元県は勿論,参加各府県も,その準備に大童の現状である。
 本共進会の審査陣容については,主催者において,各種機関に諮り詮衡中であったが,この程次のとおり16名の人が審査委員として決定夫々委嘱された。
上坂 章次 松木 主計
福島 豊一 中村 健士
宮下 静英 梶並 久雄
石原 盛衛 山根 道資
吉田正三郎 衛藤 新一
土屋平四郎 奥井 廉
大川 忠男 杉本 栄次
山南 好一 奥 俊彦
 御承知のとおり,本共進会は全国31府県の牛が出品され,その出品区分も相当多岐にわたっているため,この審査については,当初から多大のかん心が払われているところであり,然もこの結果は,今後和牛共進会の一指標として相当期待されるわけである。
 この意味から,特に審査の公平と審査眼の統一を期するため去る7月21,22日の両日,鳥取県米子市と,新見町において,第1回審査委員打合会と実地研究会が行われた。
 県においても,既に前号で報告したとおり出品牛の第2次選抜検査を去る7月中旬実施し高等登録牛2頭,牡9頭牝9頭(何れも生後30ヵ月以内)計20頭を厳選の上選抜し一応,出品の見通しを得たわけで,関係各位の今後1ヵ月の一段の努力によって,相当の成績を期待し得ると確信を深めた次第である。
 尚本共進会並びに中国連合共進会に要する経費については,追加予算として8月県会に提出中である。
 昭和24年4月,阿哲郡千屋村,新郷村を区域として結成された竹の谷蔓牛改良組合も登録協会本部の指導の下に,千屋種畜場及び両村の熱意により,着々その整備を了しつつあるが殊に,現在試用中の種牡牛第6清国号の産犢も相当生産されている実状であるので去る7月23日,千屋村家畜市場において関係牛百余頭につき詳細な諸調査が行われた。丁度新見町において第1回の審査委員打合会と実地研究会が開催された翌日の事とて,本会役職員は勿論,審査委員全員が立会され,さすが牛どころとはいえ空前の盛会に地元関係者,組合員の感激は実に大きかった。
 まず第一に現在供用中の第6清国の能力検定調査が行われたがこれは現在中央審査委員会の研究課題となっている「種牡牛の遺伝能力検定方法」(別表参照)により蔓牛,認定牛並びに造成牛38頭につき,厳重な調査が行われた。詳細に亘っては,後日発表されると思われるが大体好結果が認められたようである。
 次で現在蔓牛組合の基礎牝牛(造成牛)となっているものでその産犢成績がはっきりしたもの14頭につき認定検査の結果約7頭程度認定される見込である。
 最後に,従来本組合は千屋,新郷両村の牛をもって改良して来たが前者と立地条件の酷似している上刑部,菅生両村の加入希望が非常に高まって来たので,両村で選出された,基礎牝牛39頭を検査しその内15頭がこの蔓牛組合の造成牛として採用される予定である。
 調査終って,羽部会長から,全く異例の熱ある長挨拶があり,蔓牛造成にあたっての細い注意があり,地元関係者は勿論組合員共々に儲けのみの蔓牛でなく真に和牛改良の基礎となるべきこの困難な事業に邁進する気慨が窺われた次第で,今後の健闘を願って止まない。
昨年に比し,2,4半期に各県の購買客が殺到し,その価格も各市場共昨年3,4半期以上の好成績を示したが,この斡旋は昨年同様,県畜連日笠,山本両氏の奮闘により導出並びに書類処理が行われ別表のとおり1頭の事故もなく導出され,引続き,開催の各せり市場で導出斡旋を実施している。
(表)和牛県外導出状況
 (昭和28年8月15日現在)
| 県 名 | 頭 数 | 金 額 | 
| 頭 | 円 | |
| 香川 | 100 | 4,585,000 | 
| 徳島 | 30 | 1,330,000 | 
| 福井 | 191 | 7,914,000 | 
| 栃木 | 163 | 6,348,800 | 
| 愛媛 | 50 | 2,200,000 | 
| 岩手 | 72 | 3,217,000 | 
| 千葉 | 70 | 2,979,295 | 
| 愛知 | 20 | 960,000 | 
| 群馬 | 70 | 2,450,000 | 
| 奈良 | 10 | 478,300 | 
| 青森 | 46 | 2,061,842 | 
| 計 | 822 | 34,524,237 | 
(27.10.27.中央審査委員会に諮問)
 種牡牛がその地方の牝牛に交配されて改良上如何なる成績を挙げたかを明確に示す方法(種牡牛の後代検定方法)
1.当該種牡牛の表現型調査(測定,体型記載,優点,欠点,審査結果)
2.交配牝牛の表現型調査(右に同じ)
3.交配牝牛の区分
 なるべく各階級の牝牛頭数は相等しくとり合計50頭以上とする。
4.産犢の区分はA・B・C・Dの4階級とし(+)(−)をつけることが出来る。
5.産犢調査は交配して受胎した牝牛全部について行い不良形質等の出現を厳重調査して之を記載する。
6.両親の優点,欠点の特に著しいものの遺伝についても明瞭なるものは之を別項に記載する。
7.検定員は指定交配と産犢検査とをなす。
8.検定員は中央又は地方審査員中から会長之を選定して十分打合,研究,練習させること。
9.以上は当分中央審査委員会の研究課題とする。
(A)
| 牝牛の点数 | 73以下 | 73−74 | 74−75 | 75−76 | 76−77 | 77−78 | 78−79 | 79−80 | 80以上 | 
| 頭 数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 
(B)
| 牝牛の点数 | 73 以 下 | 73 − 75 | 75 − 77 | 77 − 79 | 79 以 上 | 
| 頭 数 | 10 | 10 | 10 | 10 | 
(C)
| 牝牛の点数 | 74 以 下 | 74 − 76 | 76 − 78 | 78 − 80 | 80 以 上 | 
| 頭 数 | 10 | 10 | 10 |