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岡山種畜場においては,昨年「種鶏に対するオーロファック給与試験」と「抗生物質の給与による仔豚早期離乳試験」を終ったが,本年はより一層,試験研究機関として,畜産及び飼料作物の試験設計を立てて,その成果をあげるべく,努力している。
各部門別の試験設計は次のとおりである。
尿素の利用率を増進するには同時に給与する飼料中の炭水化物の質によって相当影響されることが報告せられ従ってこれが応用研究においても良好な炭水化物を含む糖蜜との併用は犢育成の場合は著しい効果があるが,泌乳牛の場合はこれに比較して蛋白質代替効果は劣ることを一部報告せられているから本試験によってこれが併用効果を再検討する。
目量15−20s泌乳中の当場飼育のホルスタイン種4頭を供試し試験期間を60日間としてこれを4期(各期15日間)に分ち第1期第3期に尿素糖蜜を給与し第2期第4期に於ては第1,3期に給与した尿素糖蜜相当量の大豆粕を給与し,各期間における乳量乳質飼料摂取量及び体重の増減について比較調査する。飼料給与はNRC飼養標準に準拠する。
本県南部地帯では春耕作に使役した生後16ヶ月程度の去勢牛が7月前後に相当多数のものが農家によって売却せられる現状から,これら去勢牛が経済的に有利に肥育されるならば農家経済向上に相当の効果をもたらすものがあると認められるので本試験を設計した。
生後16ヶ月前後の去勢牛4頭を供試し肥育期間180日(第1期70日第2期60日第3期50日)として供用飼料は慣用飼料中の大豆粕を尿素糖蜜で代替すると共に大麦は切干,甘藷,脱脂米糖で代替し,これらに麩を混用し可及的安価な肥育飼料を配合調整利用する。
尚各期における飼料給与に当っては供試牛の月令から見て栄養率を第1期5.0第2期5.5第3期6.0程度に規正したい。
主要な調査事項は次の通りである。
(イ)体型体重の測定(30日毎)
(ロ)飼料播取量
(ハ)飼料費と増体重との関係
(ニ)屠体の外観及び肉質脂肪の状態
飲用牛乳の原料乳供給地における酪農経営上牝犢育成用の全乳が他の廉価なもので代替し得れば,これが経営の合理化の一自力となし得るから抗生物質及び肝油の添加による代用乳汁を調整し,これが効果を調査する。
今回は予備的な試験として乳用牡犢(当場生産)を利用して既に試験を実施しているが今後逐次生産される牡犢を供試し,これが結果によって牡犢の育成試験に移行したい。
試験期間は初乳給与後50日間で代用乳汁としては脱脂粉乳50%,メリケン粉50%を混合し,これの4倍量の熱湯を徐々に注入しつつ撹拌粥状となし38度C程度に冷却させ,オーロファック2A(1日平均20g給与)肝油(1日平均5g給与)を添加し給与する。
給与量は上記によって調整した代用乳汁1ポンドを全乳1ポンドとして給与する飼養管理其の他については一般に行われている方法に準ずる。
尚本試験は新鮮脱脂乳の入手が困難な場合を考慮し,抗生物質及び肝油を添加した所謂カーフミルを以って代替する試験に移行する予定である。
仔豚早期離乳については生後21日目よりの離乳は前回試験によって略良好な結果を得たから,今回は初乳給与後(生後6ヶ月目)直に代用乳汁を以って人工哺乳し引続き乳汁代用飼料を給与し,生後10週間までの育成成績を調査する目的で目下実施中である。
供試豚は中ヨークシァー種同腹仔豚10頭を対照区と試験区に分け試験区には下記配合飼料を給与している。
| 種 類 | 小麦粉 | きな粉 | 玉蜀黍 | 麩 | 魚 粉 | 酵 母 | 糖 蜜 | 抗生物質 | 炭酸石灰 | 食 塩 |
| % | % | % | % | % | % | % | % | % | % | |
| 代用乳汁 | 56 | 20 | ― | ― | 13 | 4.5 | 4 | 0.5 | 1.5 | 0.5 |
| 乳汁代用飼料 | 25 | 15 | 35 | 3.7 | 12 | 2 | 5 | 0.3 | 1.5 | 0.5 |
備考(一)代用乳汁は給与期間20日間1頭1日平均上記配合飼料200gを5倍量の新鮮脱脂乳で溶解撹拌して給与する。
(二)乳汁代用飼料は1頭1日平均0.4sを4−4.5倍量の温湯で練って給与する。
テンダーレッツ注没による肥満性の増進については,本年度実施した生後12−15ヶ月の雄鶏の肥育試験で稍其の効果を下記試験成績によって認めたから今回は肉鶏として比較的高価に取引される若雄にこれを利用して短期強制肥育をすれば更に有利に販売されるものと認められるから本試験を実施する。
目下育雛中の雑種(卵用種×兼用種)雄30羽を3区に分って第1区は生後60日目に開腹去勢,第2区は生後6ヶ月目にテンダーレッツを注没し,第2区は対照区とする試験期間は30日間として強制肥育を行う。
テンダーレッツ注没による雄鶏の自然肥育試験成績(昭和28年5月実施)
| 区別 | 種類 | 孵化 年月 |
供試 羽数 |
肥育 日数 |
試験開始時 平均体重 |
試験修了時 平均体重 |
平 均 増 体 重 |
内臓脂肪 平均重量 |
肝 臓 平均重量 |
睾 丸 平均重量 |
| 年 月 | 羽 | 日 | s | s | s | s | s | s | ||
| 第1区 | WL | 26.3 | 5 | 40 | 2.25 | 2.48 | 0.23 | 0.082 | 0.088 | 0.85 |
| 第2区 | WL | 27.3 | 8 | 40 | 2.225 | 2.525 | 0.3 | 0.094 | 0.097 | 0.75 |
| 第3区 | WL | 27.3 | 2 | 40 | 2.006 | 2.076 | 0.07 | ― | 0.03 | 10 |
備考(一)第3区は対照区第1,2区は試験区で開始時にテンダーレッツを注没した。
(二)肉質肉色は第1代2区間には著しい相違を示さないが対照区に比較すると肉質稍柔軟で肉色は著しく淡
色で総合的に観察すると試験区は同年令の雌の屠肉に酷似していた。
(三)冠の長さ高さは対照区11.75p,7.00pに比較すると第1区は7.66p,4.0pで第2区は最も小さく6.85p, 3.4pであった。
燕麦の早播により年内に第1回刈取りを行う場合その刈取時間の早晩が再生力に及ぼす影響について試験調査し,年内刈取適期を決定する。
供試材料 大型燕麦(福島種畜牧場産)
区 制 1区5坪 1区制
播種期 昭和28年9月10日
播種量及 反当7升 2尺の畦巾 条播
播種方法
施肥量 厩肥 300貫 硫安 3貫
過石 2貫 硫加 2貫
| 区 | 第 1 回 刈取時期 |
第 2 回 刈取時期 |
第 3 回 刈取時期 |
| A区 | 11月10日 | 3月31日 | 出穂期 |
| B区 | 11月20日 | 〃 | 〃 |
| C区 | 11月30日 | 〃 | 〃 |
| D区 | 12月10日 | 〃 | 〃 |
C・O・Oの栽培において作付上直播の困難の場合移植栽培を実施する場合に直播より20日以前に播種した苗の移植が直播による収量との比較を調査する。
供試材料 C・O・O(宮崎種畜牧場産)
(レープとカンランの雑種)
区制 1区5坪 3区制 乱塊法
播種期 直播昭和28年10月20日
移植昭和28年9月30日
植付法 2尺 畦巾
施肥量 厩肥 500貫 硫安 2貫
過石 4貫 硫加 600匁
畑地における飼料作物の集約栽培については,多くの事例が発表されているが当場において春夏作の労働配分の調整及び投下労働量の節減を主な目的とし3反4畝歩の圃場と20坪の試験圃場を使用して下記の作付順序によって集約栽培を行い収量調査労力調査etcを実施している。
畦巾 2尺5寸
| 厩肥 | 硫安 | 過石 | 硫加 | |
| 蕪 菁 | 1000貫 | 2貫 | 2貫 | 4貫 |
| 燕 麦 | ― | 3貫 | 1貫 | 1貫 |
| 玉 蜀 黍 | ― | 3貫 | 1貫 | 1貫 |
| 青刈大豆 | ― | 1貫 | 2貫 | 1貫 |
(注)厩肥は年1施用
使用作物
蕪菁(小岩井カブ) 青刈大豆(黒千石)
蕪菁(前進) ザートウィッケン(黒色)
玉蜀黍(ホワイトデントコーン)
作付順序
上記の5飼料作物を下記の順序で輪間作する。
| 燕麦ザート混播 | 青刈大豆 | |||
| 蕪菁 | 11月中旬播種 蕪菁の間作 |
→ | (4月中旬播種) 単播燕麦の間作 |
蕪菁 (厩肥全層施肥全面 耕起の上8月中旬播種) |
| 燕麦単播 | → | 青刈玉蜀黍 | ||
| 2月中旬播種 蕪菁の跡地 |
(5月中旬播種) 青刈大豆の間作 |
アルファルファーを直接野草地に播種して草生改良することは初期の生育が不良であるから一年生種苗を移植して草勢確立の状況を観察する。
本春(昭和28年5月)苗圃で育苗した苗を供用し穴植として1坪1区面積2坪3区制とする。基肥としては反当厩肥300貫,過石5貫,硫安1貫,塩加2貫,消石灰20貫とする。刈取時期刈取回数については今後の生育状態再生力などにより決定する。