アメリカ産ジャージー種雄牛

　昭和29年度集約酪農地域（ジャージー種）として去る１月22日農林省から西日本で唯一カ所，岡山県の蒜山，津山地域が指定され，本年度中にこれらの地域に対してジャージー種乳牛260頭が輸入される予定で，その後飼育者を決定して，畜舎の新築，改造，サイロの建設と導入農家は受入準備に大わらわであったが，この程準備も殆んど完了した。
　そして久しく待っていたジャージー種乳牛の第一陣156頭が神戸動植物検疫所及び横浜動植物検疫所で２週間以上にわたる厳密な検疫をすませて，10月28日久世駅，10月29日津山駅へとそれぞれ元気に到着した。
　久世駅についた94頭は神戸で検疫をすませたニュージーランド産で，28日午前中に10台のトラックで所要時間約２時間の目的地，蒜山の川上，八束，二川の各村に到着，それぞれの飼育者に手渡された。
　津山駅についた62頭は横浜で検疫をすませたアメリカ産で，津山市の一宮，高田地区の飼育者に手渡された。はるばるとお輿入れしたこれらジャージー種乳牛は長い船旅のつかれで，いくぶんやせてはいたが１頭の病牛もなく，第二の故郷の土を元気にふんだ。首にはもうお輿入れ先の農家の名札をつけており，出迎えた酪農家や小中学生と初対面，毛色もホルスタイン種とはすっかり違った薄茶褐色（ニュージランド産）や薄茶褐色から黒茶褐色（アメリカ産）で，体型も小型で，和牛よりいくぶん小さい牛に人気を集めた。津山地区に入ったアメリカ産の約20％位は妊娠牛らしく，第一世も来春には産声をあげることであろう。
　この牛は気心が分れば非常に飼い易く，ホルスタイン種の３分の２位の飼料でたり，又粗飼料の利用率は高く，すぐれた特性を以っているといわれ，体重はホルスタイン種550�sに対しジャージー種は350�sでホルスタイン種の約60％である。蹄，舌，尾端などが黒く，口のほとりはノリ口になっておる。
　10月31日正午から真庭郡川上中学校と11月１日午前11時から津山市一宮公民館でそれぞれ引渡式が盛大に行われた。当日は三木知事，藤本農地経済部長，惣津畜産課長をはじめ，池田隆政氏，岸本北酪組合長，その他来賓多数，飼育者一同，一堂に参集し，ジャージー種の万才三唱により，将来が祝福された。
　津山市に対する導入はこれで本年度は終りであるが，蒜山地区には第二陣としてニュージーランド産100余頭が近く導入される予定である。
　第一陣到着の市町村別貸付頭数は次のとおりである。

アメリカ産　　62頭

　津山市太田　（東苫田農協）　20頭
　〃　　野辺　（東一宮農協）　22頭
　〃　　上横野（横野農協）　　10頭
　〃　　大篠　（高田農協）　　10頭

ニュージーランド産　　94頭

　真庭郡川上村　　40頭
　〃　　八束村　　39頭
　〃　　二川村　　15頭

アメリカ産メス牛

ニュージーランド産メス牛　こんなに元気に到着しました

　なおこれらジャージー種導入に対するサイロ及び畜舎施設に対する農林漁業資金の借入申込，貸付決定状況は次表のとおりである。

（表）農林漁業資金借入状況表