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岡山県種畜場講座

養豚講座〔九〕

岡山種畜場 花尾技師

(五)哺乳中のえさ付

 仔豚は乳を飲んで元気に発育しているものは21日位たちますと乳だけでは物足らなくなって母豚のえさをあさりだします。この時期から仔豚の好きな消化のよい麩を脱脂乳で粘ったもの,煮たさつまいも,じゃがいもをつぶし,麩,米糠を混ぜ又砕麦を混ぜたもの等を少しづつ1日4-5回に分けてやり,胃腸を早くえさにならしぼつぼつ離乳の準備をします。えさ箱はなるべく浅い,適度の広さのものをつかいます。食べ終ったらえさ箱はよく洗って乾かしときます。母豚の乳の出の悪い場合は牛乳に脱脂粉乳を混ぜたものとか農研人工乳(前号記載)で補っていき早や目に離乳えさにならしてゆくようにします。

(六)仔付母豚の飼い方

 仔の付いている母豚の乳の出のよいか悪いかが仔豚の発育に関係しますので従って母豚の飼い方が肝要となります。勿論母豚の妊娠中からの飼い方も影響しますし,個体の関係にもよります。
 母豚は仔を産んだ後はよくいたわって体の快復をさせ又豚房内は清潔にしてやらねばなりません。便秘,下痢をさせぬように注意し,増し飼いは急にせずぼつぼつ1週間位かかって元にかえしてゆきます。
 仔付母豚は自分の体を保ってゆくえさの外に乳を出すえさを加えてやらねばなりません。どの家畜でも乳の中の必要な養分が不足しないよう与えないと母豚は自分の体を削ってでも仔を大きくしてゆくものですから母豚は僅かの間に目だっていたみが表われてくるものです。特に豚の乳の成分が濃く牛乳の2倍の濃さの乳を出しています。又豚は多くの仔を育てますので蛋白質と無機物を与えることを忘れてはなりません。なお青草とか根菜類を適当に与えることが必要です。泌乳飼料として脱脂乳が効果がありますので手に入れば乳の出の悪いものには利用することです。

(1) 授乳中の牝豚の飼養標準(ハンソン氏)

体     重 固  形  物 可消化純蛋白質 澱  粉  価
 30貫  0.7~1.0貫   99~120匁   630~ 840匁
40 0.9~1.5 132~160  840~1,120
50 1.2~1.9 165~200 1,050~1,400
60 1.4~2.2 198~240 1,260~1,680
70 1.6~2.6 231~280 1,470~1,960
80 1.8~3.0 264~320 1,680~2,240

(2) 授乳中の牝豚の飼養標準(モリソン氏)

体     重 固  形  物 可消化粗蛋白質 全可消化養分
 36貫  1,070~1,310匁  139~148匁   970~1,140匁
48 1,130~1,430 146~155 1,020~1,200
60 1,170~1,540 148~162 1,070~1,260
72 1,340~1,660 161~170 1,130~1,320

(3) 畜産試験場の飼料給与標準

区     分 配 合 飼 料 生     草 給 与 回 数
妊娠期  933~1,200匁  212~207匁 2
授乳中 933~1,467 212~267 3

配合飼料

米糠(40)麩(20)玉葱(20)大豆粕(10)魚粉(10)食塩(0.5)の割合に配合したもの。
 仔豚の数によってえさを増減しなければなりません。仔の数に無関係に一律にやるのは正しい与え方とはいわれません。

(七)乳から離す時期

 仔豚はえさもよく食べるようになり,丈夫に育ってきましたが,それではいつ頃乳から離したらよろしいでしょうか,乳から離した後母豚と仔豚が共に変りがないように取扱わねばなりません。
 仔豚が生れて50-60日頃で,発育のよいものは50日余りで離し,幾分弱いものは60日から又それ以上もつけてから離します。仔豚の体重から離乳を判断するには三貫目となて乳から離すのが,その後の発育によい結果となります。
 乳から離す方法として(毎月の飼養管理で既述したが)予定の1週間前から母豚のえさをすこしずつ減らし離乳の2-3日前から仔豚を夜だけ母豚につけ昼間は離してしまう方法と,発育のよいものから2-3頭ずつ離してゆく方法,特に発育の悪いおくれたものだけを残して相当期間特別飼育する方法もとります。又母豚の病気等で急に離す場合もおきます。離乳後は母豚の乳房炎に気をつけることが肝要であります。
 これからの1ヵ月のえさの与え方がうまいか,まずいかが将来に大きな影響をもたらしてくるのですから仔豚の動き,食べ方,糞の状態,発育の具合をとくと見て動きにそった飼い方をせねばなりません。発育中の豚は蛋白質をとって筋肉をこしらえ,内臓を発育させますし,骨をつくるのには燐酸とカルシウムの2つが必要でありこの2つのつり合いよく与えねばなりません。

(八) 乳ばなれ後の育て方

 離乳から普通の食べものに移ってゆくことは仔豚にとって1つの大きい変化であります。今まで飲んでいた乳から離されて濃厚飼料と草だけに変るのですから余程注意しなければなりません。前記の蛋白質,無機質の外にビタミンが不足しないようにせねばなりません。そのわけは,
 (1)成長中のものは蛋白質をたくわえるし又分解する作用も盛んであります。
 (2)骨はカルシウムと燐ですが燐酸は濃厚飼料(糠類)の中にたくさんふくまれているので不足の心配はありませんがカルシウムの方は沢山燐酸につり合うだけ含まれていませんので不足分だけ補ってやらねばなりません。なおビタミンDが骨の発達と関係があります。このDは豚を日光浴さすことによって体内でつくられるものです。発育中の豚は特に舎外で日光にあてDを補わねばなりません。肝油の中にはDとAを多く含んでおります。
 (3)ビタミンの種類は多いのですが,その中でもDの外にA,Bが必要です。
ビタミンAは,これが不足すると発育が悪くなり,眼病,脱毛,胃腸障害等にかかり易くなり又繁殖とも関係があります。めすでは発情が弱くなり,種のとまりが悪くなり,おすでは生殖器の発達が悪く,精虫数が少く,交尾欲もへります。ビタミンAは荳科青草とか,にんじん,かぼちゃ,黄色さつまいも,等に多く含まれています。
 ビタミンB1B2は仔豚の発育に必要でB1は神経と胃,腸の障害をおこします。B2が足らぬと発育がおくれ皮膚病をおこします。
 育成はむずかしいものですからいつも初歩のつもりで仔豚の発育を見まもって,将来繁殖にするものと肉用にするものと同一にせず繁殖にするものは肥満型にならぬように注意し,発育盛りには良いえさを充分に与え,飼養標準にそうように配合してやることです。そして胴伸のよい骨ぐみのがっちりした豚をこしらえねばなりません。それには充分な運動が必要であります。肢蹄の丈夫な体質の頑健なものにするには運動場,放牧場に放ってよく日光にあてることです。よい繁殖豚はできるだけ長い年月用い早く屠殺しないことです。しかし繁殖豚の中には仔豚を食ったり仔豚に乳を飲ませない悪癖のもの,その仔にあまりにむらができる場合,乳の出の悪いもの等の不良のものは早く淘汰することです。

(1) 発育標準

生時 1ヵ月 2ヵ月 3ヵ月 4ヵ月 5ヵ月 6ヵ月 7ヵ月 8ヵ月 9ヵ月 10ヵ月
ヨークシャー種 牝 1.28 6.75 13.96 18.68 26.7 36.1 49.08 62.18 74.06 85.32 97.57
牡 1.29 6.75 14.01 18.99 26.78 37.37 49.69 64.64 79.06 92.85 102.13
計 1.28 6.75 13.99 18.83 26.74 36.79 49.41 63.5 76.75 89.47 99.71
バークシャー種 牝 1.33 8.6 17.61 22.58 30.2 38.19 51.84 67.41 77.02 90.44 101.96
牡 1.35 8.5 15.97 21.94 30.5 39.74 54.41 63.35 82.37 93.41 106.56
計 1.34 8.54 16.7 22.22 30.37 39.05 53.27 66.6 79.99 92.01 104.41

畜産試験場の正常発育した豚の発育平均値,豚の発育完了は3年半で完成体重おす200~250㎏めす150~200㎏位のものが多い。

(2) 体重のはかり方

 豚を正しく立たせて巻尺で耳のつけねの中央から尾のつけねまでの長さを体長とし,前肢のすぐうしろをひとまわしした長さを胸囲とします。両肩の一番広いところの水平の距離を肩巾とします。これを次の式で計算すればよろしい。
 体重(貫)=体長(尺)×胸囲(尺)×肩巾(尺)×2

(3) 繁殖用仔豚の飼養標準(ハンソン氏による)

体   重 可消化純蛋白 澱 粉 価
2.7~ 4.0貫 7.0匁 40匁
4.0~ 5.3 6 40
5.3~ 8.0 5.5 35
8.0~10.7 4.5 30
10.7~13.3 3.8 28
13.3~16.0 3.2 26
16.0~18.7 2.8 25
18.7~21.3 2.4 23
21.3~24.0 2.2 21
24.0~26.7 2 20
26.7~29.3 1.9 19
29.3~32.0 1.8 18
32.0以上 1.7 18

(4) 肉用仔豚の飼養標準

体   重 可消化純蛋白 澱 粉 価
2.5~ 4.0貫 7.0匁 40匁
4.0~ 5.5 6 40
5.5~ 8.0 5.5 35
8.0~10.5 5 34
10.5~13.5 4.5 33
13.5~16.0 4 32
16.0~18.5 3.4 30
18.5~21.5 3 29
21.5~24.0 2.7 26
24.0~26.5 2.5 24
26.5~29.5 2.4 24