既刊の紹介酪農経営診断のまとめ平成10年

酪農経営診断のまとめ 平成10年

所得階層間比較

 調査23事例のデータを、家族労働力1人当たり年間所得で300万円以上を上位階層、150万円〜300万円を中位階層、150万円未満を下位階層として組み替え集計した。
 それぞれの階層に属する農家戸数は、上位階層が2事例、中位階層が14事例、下位階層が7事例である。
 労働力1人当たり所得階層間で経営内容を比較した内容を整理すると以下のとおりである。
 その内容は表3のとおりで、上位階層ほど生産原価が低く、特に購入飼料費が低く抑えられている。上位階層の購入飼料費が低いのはTDN単価が低いからで、上位階層は飼料自給率が他の階層と比較して高く、粗飼料の購入量が少なくなった結果であると考えられる。また、上位階層はコストダウンの実現と同時に、個体当たりの生産性も高く、経産牛1頭当たり産乳量は上位階層で最高になっている。これらのことにより高所得が実現できており、借入金も少なく、安定した経営となっている。

表3 労働力1人当たり所得階層別比較

労働力1人当たり所得階層別 全体平均 <150万円 150〜300万円 300万円<
経産牛1頭当たり牛乳販売収入 784,032 841,299 777,386 765,368
子牛育成牛販売収入 31,504 33,137 29,657 33,459
その他 6,876 16,219 6,287 0
822,413 890,655 813,329 801,917
経産牛1頭当たり購入飼料費 397,569 417,707 393,669 393,351
敷料費 6,606 6,915 6,013 7,342
労働費 107,171 140,985 104,608 94,108
  うち雇用労賃 11,093 28,662 5,179 11,180
減価償却費 108,601 124,612 109,132 99,800
当期生産費用合計 767,088 899,046 752,951 722,314
経産牛1頭当たり一般管理費 98,302 107,881 104,356 84,432
 〃 事業外収益 42,132 45,282 40,117 43,578
 〃 事業外費用 50,630 96,014 44,980 36,412
  うち支払利息 16,081 40,290 11,080 11,478
  うち経産牛処分損 29,341 52,725 31,218 14,835
 〃 経常利益 34,558 -62,307 30,343 89,313
 〃 経常所得 131,567 51,550 130,563 173,082
当期経常所得 5,750,293 2,010,615 5,394,204 8,154,267
労働力員数(人) 2.62 3.61 2.58 2.20
飼養頭数
経産牛(頭) 49.9 62.2 45.1 51.1
育成牛(頭) 21.0 22.2 17.8 25.3
生乳生産量(t) 430.8 586.5 376.0 435.2
家族労働力1人当り経常所得 2,455,537 757,643 2,095,220 3,844,961
所得率 16.1 5.6 15.8 21.7
農家総所得に対する酪農部門割合 76.9 63.6 76.4 84.2
100kg当り生産原価 7,625 8,220 7,720 7,184
〃  総原価 8,883 9,934 9,051 8,106
労働力1人当経産牛飼養頭数 20.1 15.7 20.2 22.0
経産牛1頭飼養管理労働時間 121.4 149.8 125.4 101.4
経産牛1頭当たり産乳量(kg) 8,498 9,298 8,325 8,359
平均乳脂率 3.78 3.69 3.81 3.79
平均無脂固形分率 8.71 8.79 8.69 8.74
平均乳価 92.37 90.49 93.67 91.36
初生子牛販売価格 44,360 46,243 40,706 48,900
平均分娩間隔 14.1 14.5 14.0 14.1
経産牛更新率 24.8 33.5 24.6 20.8
経産牛1頭当り飼料生産のべ面積 13.1 13.9 12.1 14.2
飼料TDN自給率 11.18 12.33 11.25 10.13
購入飼料TDN単価 76.54 80.80 75.33 76.35
乳飼比(育成牛その他含む) 50.8 49.9 50.8 51.4
経産牛1頭当り資金借入残高 483,138 987,506 396,585 360,784
経産牛1頭当借入償還負担額 55,760 77,544 52,779 49,341
自己資本比率 53.0 42.8 55.7 54.1