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集計対象23事例のデータを,家族労働力1人当たり年間経常所得で,他産業従事者の年間給与額468万円以上を上位階層,300万円〜468万円を中位階層,300万円未満を下位階層として組み替え集計した(表5)。
それぞれの階層に属する農家戸数は,上位階層が3事例,中位階層が5事例,下位階層が15事例である。
労働力1人当たり所得階層間で経営内容を比較したものが表5で,要約すると以下のとおりである。
上位階層は,経産牛1頭当たり産乳量は8,276sと中位の成績であり,したがって,経産牛1頭当たり売上高も796千円と中位の結果であった。しかし,経産牛1頭当たり購入飼料費が316千円,同家族労働費が75千円と低く,売上原価が560千円と最も低く抑えられた。さらに経産牛更新率が22.5%と低い結果,経産牛処分損が26千円と低く,事業外収益と事業外費用の差額が△5千円と最も少なかった。その結果,経産牛1頭当り経常利益が135千円,経常所得も202千円と高くなった。
このことに加えて,労働力1人当たりの経産牛飼養頭数が29頭と最も多いため,家族労働力1人当たりの経常所得が5,367千円と他階層に比べて一段と高くなっている。
一方,最下位層は,経産牛1頭当たり産乳量が7,610sと最も低く,また繁殖成績も平均分娩間隔が14.4カ月と最も悪く,したがって経産牛1頭当たり売上高も733千円と最も低く,さらに一般管理費が100千円と高く,資金借入残高が566千円と高いことから,支払利息も23千円と多くなって,事業外費用と事業外収益との差が26千円と最も大きくなり,その結果,経産牛1頭当り経常所得が89千円と低くなった。さらに労働力1人当り飼養頭数が16.7頭と少ないため,労働力1人当りの経常所得も1,401千円と低くなっている。