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岡山県の酪農の最大の課題は,酪農生産力の維持である。このことは昨年もここで記した。しかし現実はTの経営環境のところでもみたとおり,岡山県の生乳生産量は徐々に低下している。もちろん,その背景には酪農家戸数の減少がある。酪農家戸数の減少の要因は,高齢化や環境問題もあるが,収益性の低下が根底にあると考えられる。Wで示した@とAの両方の条件をクリアーしている事例は22事例中4事例にとどまっている。すなわち,18%の成功者=「勝ち組」と82%の「その他組」という構図になっている。
診断事例でも見てきたように,「勝ち組」の代表はフリーストール等の放し飼い方式を導入している経営である。4事例の中に2事例が含まれている。しかし,この方式を導入したからと言って,自動的に100%成功するものではないし,誰でも採用できるわけでもない。現に82%の「その他組」のなかにも放し飼い方式は存在している。
「勝ち組」の他の2事例をみると,どちらも飼料作付面積が大きく,しかも地域の仲間と共同で飼料生産を行っている事例である。すなわち,個の限界を共同の力で破ってコストダウンを実現している事例である。このことはふん尿処理にも当てはめることができるだろう。本当に,飼料生産にしてもふん尿処理にしても共同化は不可能なのか,経営者も関係者も,もう一度,検討する必要がある。
上記の82%の「その他組」は「離農予備軍」である。「離農予備軍」を「勝ち組」に引き上げることが関係者に課せられた課題である。