既刊の紹介酪農経営診断のまとめ平成14年

酪農経営診断のまとめ 平成14年

[ 今後の課題

 以上のように、酪農経営を経営継続の側面から見て、Wで示した@とAの両方の条件で検討してみた。両方の式を満足している事例は22事例中6事例(27%)にとどまっている。しかし、@式のみであれば22事例中11事例(50%)がクリアーしている。
 A式をクリアーするためには、労働生産性の改善が欠かせない。したがって、従来の繋ぎ飼い方式ではどうしても不利になる。@とAの両方の条件をクリアーしている6事例中4事例が放し飼いであることからもこのことが理解できる。
 @式をクリアーするためには、規模の大きさが求められる。5,400千円以上の階層の経産牛飼養頭数規模は、5,400千円以下の階層の、1.8倍の規模になっている。
 このように、経営を継続させるためには、ある程度の飼養頭数規模が必要であり、また、効率的に飼養する飼養管理システムを導入することが好ましいことになる。
 さらに高い技術力と併せて、計画的な投資により、経産牛1頭当たりの借入資金残高が低いことが求められる。
 また、多頭化した乳牛から排泄されるふん尿を、きちっと処理するシステムの整備も必須事項である。
 かなり厳しいハードルではあるが、現実にこれらを楽々とクリアーしている事例があるわけであり、未達成経営者は先進事例を見習う必要がある。