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前項の産乳飼料給与例中大豆粕の代りに尿素を置き換えた一例を掲げ,併せて価格の比較をして見ましょう。
飼料名 | 脱脂米糠 | 麸 | 大豆粕 | 尿素 | 甘藷(乾) | 計 | |
大豆粕を用いた場合(A) | 配合割合 | 30% | 30% | 10% | − | 30% | 100% |
配合実量 | 1.8s | 1.8s | 0.6s | − | 1.8s | 6.0s | |
(480匁) | (480匁) | (160匁) | (480匁) | ||||
価格 | 35.52円 | 41.76円 | 34.24円 | − | 50.40円 | 161.92円 | |
尿素を用いた場合(B) | 配合割合 | 41% | 28.60% | − | 1.80% | 28.60% | 100% |
配合実量 | 2.56s | 1.8s | − | 0.099s | 1.8s | 6.297s | |
(687匁) | (480匁) | (26匁) | (480匁) | ||||
価格 | 50.84円 | 41.76円 | − | 4.68円 | 50.40円 | 147.68円 | |
備 考 (A)と(B)の差額は19.24円 1貫当の価額は 脱脂米糠74円,麸87円,大豆粕214円,米糠85円, 尿素180円,甘藷(乾)105円(生甘藷35円×3=105円) |
これは大豆粕0.6s(116匁)を尿素99g(26匁)と脱脂米糠0.78s(207匁,1升)で置き換えた例ですが,又大豆粕を尿素と自家で自給しやすい甘藷等でおきかえて見て、飼料費が安くなるよう工夫して見て下さい。
計算の参考になる換算数字を示しておきます。
sを貫に直すには
1s=0.266貫
sを升に直すには
大麦1s=1升
燕麦1s=1.3升
麸1s=1.6升
米糠1s=1.6升
脱脂糠1s=1.3升
大豆粕1sの代用として(前を参照)
尿素150g+麸1.4s
〃165〃+脱脂米糠1.3〃
〃170〃+米糠1.0〃
〃180〃+大麦1.1〃
〃180〃+燕麦1.2〃
〃220〃+甘藷(乾)1.0〃
〃240〃+濃粉粕(乾)1.3〃
次表の例でお分かりのように尿素は濃厚飼料の約3%位混ぜるのがよいとされておりまして,成牛では1日量200gから300g(53匁から80匁)が適量であります。
飼料名 | 米糠 | 麸 | 大豆粕 | 尿素 | 甘藷(乾) | 計 | |
大豆粕を用いた場合(A) | 配合割合 | 40% | 20% | 20% | − | 20% | 100% |
配合実量 | 2.4s | 1.2s | 1.2s | − | 1.2s | 6.0s | |
(640匁) | (320匁) | (320匁) | (320匁) | ||||
価格 | 54.40円 | 27.87円 | 68.48円 | − | 33.60円 | 184.35円 | |
尿素を用いた場合(B) | 配合割合 | 36% | 43.20% | − | 2.80% | 18% | 100% |
配合実量 | 2.4s | 2.88s | − | 0.18s | 1.2s | 6.66s | |
(640匁) | (767匁) | (48匁) | (320匁) | ||||
価格 | 54.40円 | 66.73円 | − | 8.64円 | 33.60円 | 163.37円 | |
備 考 (A)と(B)の差額は20.98円 上例は大豆粕1.2s(320匁)を尿素180g(48匁)と麸1.68s(447匁)で おきかえたものですが大豆粕を尿素と乾燥甘藷でおきかえるともう少し 許り安くなる筈です。試みて下さい。 |
尿素を使う仔牛の成長飼料としましては,前出の乳量18sの場合のような尿素配合飼料を体重の1%程度与え,その他に乾草を体重の2%,多汁質飼料(蕪類)を体重の1%以内与えれば適当であります。
給与例
体重240s(64貫)の仔牛の場合
(1)乾草4.8s(1貫280匁)
生草ならば14.4 s(3貫840匁)
(2)蕪類2.4 s(640匁)
(3)尿素配合飼料2.4 s(640匁)
米糠36%0.864 s(230匁 1升4合)
麸43.2%1.037 s(276匁 1升6合)
尿素2.8%0.067 s(18匁)
甘藷(乾)18%0.43 s(115匁)
1.尿素は牛,山羊,緬羊だけに限り有効であります。
2.尿素は単味で与えてはいけません。必ず他の飼料と配合して下さい。
3.適量を守って下さい。
日量 成牛200−300g(52匁−80匁)
緬羊・山羊20−30g(5匁−8匁)
配合割合……濃厚飼料の3%
1日3回給与するときには1回にこの量の3分の1宛与えること。
4.尿素を水に溶かして飲ませたり,水の多い「ドブ飼」にすると中毒を起して死ぬようなこともありますから,絶対に止めて下さい。
但し尿素を配合した飼料を水でねった程度なら差支えありません。
5.大豆や大豆粕その他荳科植物の実や茎葉には,尿素を分解して効力を減じ又有害なアンモニヤ瓦斯を発生する成分がありますから尿素とこれらのものを一緒に配合して与えることは絶対にさけて下さい。
6.尿素を他の飼料と配合する際は均等によく混じるようにして,1ヵ所にかたまらないように注意して下さい。
7.尿素は湿気を引き易く,湿気を帯びると品質も低下し,有害になりますから防湿袋に入っているものを求め,良く乾燥した所に保存しておき,使用後は口をかたく締め,紐でよく縛って下さい。
殊に梅雨期,夏期には防湿に特に注意しましょう。
実際問題として給与する度に一々尿素と,これに配合する飼料の量をはかってまぜ合わせることは中々面倒であり,往々誤りを犯して,危険を伴い易いので充分注意深くやらなければなりませんが、現在尿素と数種の濃厚飼料を適当な配合率をもって製造した尿素配合飼料が市販されていますから紹介して置きます。
日本配合飼料株式会社
東京都中央区日本橋室町2の1
朝日乳業株式会社
千葉市院内町3番地
日本農産工業株式会社
横浜市神奈川区新浦島2丁目2番地
現在のところ製造しているのは以上3社でありまして,このうち日本農産は未だ販売しておりませんが近く発売する予定です。
尿素単味(東洋高圧製品)
卸価格 20s入1袋 900円
5s入1袋 250円
尿素配合飼料
日本配合飼料製品 1t 27,000円
(国内レール渡昭26年2月現在)
朝日乳業製品 10貫俵 850円
日本農産工業 予定販売価格
1sにつき35円
(終り)